20世紀中ごろより抗生物質が医療現場で使用されるようになり, 我々は感染症に対して多くの恩恵に与ったが, その反面で薬剤耐性菌との長い戦いが続いている。薬剤耐性に関する研究が多くなされ, インテグロンに代表されるような細菌の外来遺伝子獲得機構が少しずつ明らかになってきた。その中で, 細菌が外環境に素早く順応するためのプラットフォームと考えられるような染色体上の構造が Vibrio cholerae で発見され, スーパーインテグロンと名づけられた。本稿ではスーパーインテグロンの特徴・機能を中心に薬剤耐性とインテグロンの関わりについて紹介したい。