育種学研究
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原著論文
アミロースオートアナライザーを活用したイネ餅硬化性の効率的評価法の開発
道満 剛平平山 裕治佐藤 毅田中 淳一
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電子付録

2020 年 22 巻 1 号 p. 11-20

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摘 要

イネの糯品種には餅生地の硬化が速い品種と遅い品種があり,用途により求められる餅硬化性(以下,硬化性)が異なることから,硬化性の評価は糯品種の育成過程に不可避である.餅生地の作製は大量の原料米の確保に加え,多大な労力と時間が必要なため,膨大な点数を扱う選抜初期においては,簡易かつ効率的な評価法の開発と選抜指標が求められてきた.本研究では,育種現場にも導入されている改良型のアミロースオートアナライザーを利用し,硬化性の初期世代からの効率的選抜に適用可能な評価法を開発したので報告する.波長域400~900 nmのヨウ素吸収スペクトルを測定し,添加するI2/KI溶液濃度を粳米測定時の2倍にしてブランクのヨウ素吸光スペクトルとの差分を算出することで,糯米のアミロペクチンによるヨウ素吸光スペクトルを効率よく抽出することができた.糯米のヨウ素吸光スペクトルから硬化性との関係の深い解析値を検討した結果,各波長の吸光度の積算値(IVA)が24時間後の餅硬度および曲がり法におけるb/a値と高い正の相関を示すことを見出した.この相関はラピッドビスコアナライザー(RVA)による粘度上昇開始温度や最高粘度到達温度等の従来利用されてきた硬化性指標のそれと遜色ないものであった.当評価法の有効性検証のために選抜初期の育種集団に適用したところ,IVAと餅硬度の間に高い相関が認められた.開発した手法は,RVAを用いる方法と比較して,1)極少の米粉量で測定可能,2)サンプルあたり半分以下の測定時間で計測可能,3)自動連続分析が可能,以上の3つの利点を有していた.当評価法は,硬化性の選抜初期からの効率的選抜を可能にし,糯米品種育成の効率化や硬化性の高い「きたふくもち」や硬化性の低い「風の子もち」等の特徴ある硬化性を持つ糯品種の育成に資することが期待される.

Abstract

Waxy rice cultivars include fast-hardening and slow-hardening types for rice cakes. Because each type of cultivar is used for different applications, evaluation of the hardening properties of rice cakes is essential in waxy-rice-breeding programs. In the breeding of early generations, in which a large number of samples have to be handled, a simple and efficient evaluation method for screening is required. In this paper, we report an efficient evaluation method for the hardening properties of rice cakes that is applicable to the efficient selection of early generations, using an amylose autoanalyzer, which is widely used in Japanese rice-breeding programs. We were able to efficiently extract the iodine absorption spectrum of amylopectin of waxy rice by calculating the difference between the iodine absorption spectrum in the wavelength range of 400 to 900 nm and the blank iodine absorption spectrum, with double the concentration of I2/KI solution compared to the amylose content measurement of common rice. Investigation of the analytical values derived from the iodine absorption spectrum of waxy rice revealed that the integrated value of the absorbance (IVA) had a high and positive correlation with the b/a value of the bending method from 24 hours later, which is a classical evaluation method for rice cake hardening. This correlation was not inferior to that of the curability indexes such as the pasting temperature and the temperature of maximum viscosity analyzed using a Rapid Visco Analyzer (RVA). The effectiveness of this method was verified by applying it to early generations of a breeding population, and a high correlation was detected between IVA and rice cake hardness. The developed method had the following three advantages compared to RVA: 1) measurable with a small rice flour sample, 2) less than half the measurement time per sample, 3) continuous automatic instrumental analysis is possible. This evaluation method is expected to contribute to the efficient screening of waxy rice varieties in early generations and the efficient breeding of waxy rice cultivars with distinctive hardening properties.

緒言

我が国における2017年の水稲糯品種の生産量は約20万tであった(農林水産省 2018).都道府県別の検査数量ベースでは,北海道が約4.3万tで最も多く全国の2割以上のシェアを占めた.次いで,新潟県(約3.0万t),秋田県(約2.2万t)と続く.国内の糯米加工食品の生産量では,約38%が和菓子やおこわ用として,約37%があられ等の米菓用として,残り25%が包装もち用である(米穀安定供給確保支援機構 2018).イネ(Oryza sativa L.)の糯品種には,餅生地の硬化が遅い(硬化性が低い)品種と速い(硬化性が高い)品種がある.用途により求められる硬化性が異なり,和菓子やおこわ等の主食用には,前者のような硬化性が低く柔らかさが持続する品種が求められ,米菓や包装もち等の加工用には,工場での作業性が良いことから硬化性が高く生地が速く固まる品種が求められる.硬化性は登熟気温が低いと低くなるため,北海道では冷涼な気候を活かし硬化性が低い品種が主に作付けされてきた(五十嵐ら 2008).現在,北海道の糯米作付面積の約8,000 haのうち,硬化性が低い「はくちょうもち」(本間ら 1991),「風の子もち」(丹野ら 1997),「きたゆきもち」(品田ら 2016)の3品種が9割以上の面積を占める.一方で冷涼な登熟気温でも硬化性が高い「きたふくもち」(平山ら 2018)が近年開発された.現在は,これら硬化性に特徴のある4品種が全国の加工メーカーにおいて,それぞれの加工適性に応じて異なる用途で用いられている.選抜初期に個体や系統の硬化性を効率的に評価することができれば,用途に応じた糯品種育成の効率化に繋がる.

硬化性は,遺伝率が比較的高く,初期世代から選抜効果が高い形質であることが知られている(五十嵐ら 2008小玉 2012).しかし,実際に硬化性を評価するには,餅生地作製に少なくとも500 g以上の一定量の原料米が必要になる.また,加工に労力と時間がかかることから,多数の材料を扱う選抜初期において餅生地を作製した上で硬化性を評価することは現実的ではない.一方で,餅生地を作製することなく硬化性を評価する方法として,ラピッドビスコアナライザー(RVA)による米デンプンの熱糊化特性を指標として用いることが可能である(岡本・根本 1998小林ら 2000).糯米の育種現場においては,個体選抜などの選抜初期からRVAの粘度上昇開始温度や最高粘度到達温度を用いる選抜手法が提案されてきた(佐藤ら 2005杉浦ら 2005).実際に,北海道においては年間千点以上の育種材料の硬化性について積極的に選抜が行われてきた.しかし,RVAによる選抜においても,測定に必要な米粉の量は3~4 gで1点に10分間程度の測定時間を要することから,膨大な育種材料に対して非常に大きな労力と時間を要するのが現状である.そこでより簡便で効率的な硬化性の推定方法として,極少量の試料をより短時間で連続的に分析できるアミロースオートアナライザーに我々は着目することとした.

アミロースオートアナライザーは,本来炊飯米の食味に大きく関わるアミロース含量を自動測定する機器である.稲津(1988)が確立した従来型のアミロースオートアナライザーは,ヨウ素デンプン呈色反応による呈色度を利用して胚乳デンプンに含まれるアミロースとヨウ素の複合体量を単一波長(620 nm)で測定する.分析に必要な米粉は100 mgと極めて少量であり,1点の測定に必要な時間は3分間で,自動的かつ連続的に測定されることから,育種における簡易迅速法として広く活用されてきた.五十嵐・上野(2004)が改良したアミロースオートアナライザーは,400~900 nmの幅広い波長域を検出し,ヨウ素吸収スペクトルを自動判定できる検出器を備えている.従来の単一波長だけでなく,多波長の吸光度を検出しヨウ素吸収スペクトルの測定が可能となり,最大吸収波長,ヨウ素吸収スペクトルのピーク面積,炊飯米の老化性指標として用いられるピーク面積比(Fr. I/II)等を得ることができる(五十嵐ら 2009).このような多次元解析を通して,米デンプン特性を詳細に推定することが可能となった.このため,現在ではこの改良型アミロースオートアナライザーが育種現場に導入され,広く運用されている.

硬化性を決定する主な要因は,糯米に含まれるアミロペクチンの鎖長分布であることが知られている(Okamoto et al. 2002Suzuki et al. 2006五十嵐ら 2008小玉 2012).アミロペクチン鎖長の短鎖比率の増加に伴い,硬化性は低くなる.アミロースオートアナライザーのヨウ素呈色法による測定では,従来型と改良型のいずれにおいても,アミロースだけでなくアミロペクチンの長い側鎖とヨウ素が結合した複合体量も測定に影響を与える(Banks et al. 1974, Juliano et al. 1981).したがって,ヨウ素呈色法による粳米のアミロース含有率は「見かけのアミロース含有率」である点に留意する必要がある.このことから,アミロースを含まない糯米を供試した場合には,糯米に含まれるアミロペクチンとヨウ素の複合体量のみを検出することが理論上可能なはずである.実際に,従来型のアミロースオートアナライザーで単一波長(570 nmまたは600 nm)における吸光度を用いて糯品種の硬化性推定を試みた報告がある(稲津 1994辻ら 1995).稲津(1994)は570 nmの青価と硬化性との間にr=0.67(p<0.01)の相関が,辻ら(1995)は600 nmのヨウ素呈色度と餅硬度の間に,r=0.81(p<0.05)の相関があることを報告している.しかしながら,RVAでの粘度上昇開始温度や最高粘度到達温度と硬化性との相関は概ねr=0.90以上であることに比べるとその精度は劣り,アミロースオートアナライザーを用いた硬化性推定は育種現場における一般的技術として利用されてはこなかった.

本研究では,改良型のアミロースオートアナライザーによって400~900 nmの幅広い波長域の積算値(Integrated value of absorbance, IVA)の測定により,硬化性の評価を試みた.その結果,ヨウ素ヨウ化カリウム液(I2/KI溶液)を通常の粳米計測の際の2倍にする等の工夫により,RVAを用いた場合と遜色ない精度で硬化性を評価することが可能であった.当評価法は極少量のサンプル(100 mg)に適用可能で,短時間(3分間)で自動かつ連続的に測定可能であることから,育種現場において実用的に運用可能と考えられるので,評価法開発の基盤となった知見とともに報告する.

材料および方法

1. 供試材料

本研究では分析条件の検討,その分析条件における改良型アミロースオートアナライザーによる解析値と硬化性指標値との関連性調査,育種過程の選抜材料を用いた検証実験を実施した.

分析条件の検討には,粳米標準品および硬化性が異なる北海道の主要な糯4品種(「きたふくもち」,「きたゆきもち」,「はくちょうもち」,「風の子もち」)を供試した.これらの品種を2016年5月24日に北海道立総合研究機構農業研究本部上川農業試験場内圃場(北海道比布町(北緯43度,東経142度))にm2あたり22.2株,3本植えで移植した.なお,供試品種は,硬化性が高い順に「きたふくもち」,「きたゆきもち」,「はくちょうもち」,「風の子もち」となることが知られている(付図1).粳米標準品は,上川農業試験場でのアミロース分析に用いているアミロース含有率が21.12%の米粉試料を用いた.

改良型アミロースオートアナライザーによる計測値と硬化性指標値(24時間冷却保存後の餅硬度および曲がり法による評価値)との関連性調査には,2014~2017年に上川農業試験場における生産力検定試験供試系統(生産力検定試験2年目以降,F7およびF8世代)のべ25系統および比較品種(「きたふくもち」,「きたゆきもち」,「はくちょうもち」,「風の子もち」)を用いた.これらの品種・系統を2014年5月16日,2015年5月20日,2016年5月24日,2017年5月23日にm2あたり22.2株,3本植えで移植した.

評価法の検証には,2017年に単独系統選抜に供試した10の交配組合せに由来する54系統(F5およびF6世代),比較品種,および交配親系統を用いた.これらの品種・系統を2017年5月17日にm2あたり22.2株,1本植えで移植した.

施肥は生産力検定試験および単独系統選抜の各年ともに10 aあたりN:8 kg,P2O5:9.7 kg,K2O:6.9 kgを施用した.収穫および脱穀後,篩目1.90 mmで調製した玄米を,自動テスト精米機VP-32T(山本製作所,山形県天童市),またはテスター精米機MC90A(東洋精米機製作所,和歌山県和歌山市)で歩留まり90.5±0.3%に搗精した.白米はブラベンダージュニアテストミル(Brabender Technologie, Duisburg, Germany)で微粉砕し,ふるいがけを行い,米粉試料を得た.

2. アミロースオートアナライザーによるヨウ素吸収スペクトルの分析

アミロースオートアナライザーによる分析は,上川農業試験場における粳米のアミロース分析条件を基準とした.すなわち,100 mgの米粉を浸漬液(1 mlの99%エタノールと4 mlの0.4 M水酸化ナトリウム水溶液)で一晩浸漬し膨潤させた試料,およびブランクとして前述の浸漬液のみを加えた試料をアミロースオートアナライザーIII(Bran+Luebbe, Norderstedt, Germany)に供試した.I2/KI溶液濃度は,粳米の標準測定条件では0.2%ヨウ素/2%ヨウ化カリウム溶液を用いており,特に記載がない限りこの濃度を標準として用いた.I2/KI溶液濃度条件の検討には,ヨウ素およびヨウ化カリウムのいずれの濃度も,標準の1.5倍,2.0倍,および3.0倍に上げて測定した.波長域400~900 nmにおけるヨウ素吸収スペクトルを測定した.ヨウ素吸収スペクトルから,最大吸収波長(λmax,単位:nm),最大吸収波長における吸光度(Aλmax,単位:ABS),波長1 nm毎の吸光度の積算値(IVA,単位:ABS),ピーク面積比(Fr. I/II)を得た.Fr. I/IIは五十嵐ら(2009)が提案した老化性指標で,ヨウ素吸収スペクトルの最大吸収波長付近で区分し,「400 nm~最大吸収波長」の吸光度の積算値(Fr. I)と「最大吸収波長~900 nm」の吸光度の積算値(Fr. II)の比率(以下,Fr. I/II,単位:なし)を用いた.五十嵐ら(2009)は粳米を対象としていたことから,粳米の最大吸収波長付近の600 nmを境にした比率を提案したが,本研究ではアミロペクチンの最大吸収波長付近である530 nmを境として比率を算出した.ブランク試料(以下,ブランク)として,浸漬液のみを加えた試料を供試した.

3. RVAによる熱糊化特性の分析

RVA(Perten, Stockholm, Sweden)を用いて,乾物重換算で3.0 gの米粉試料に,0.01 Mのエチレンジアミン四酢酸二カリウム(2水和物)溶液(EDTA・2K溶液)を25 ml添加して測定した.RVAの測定条件は,初期温度50℃で,10.75℃/分で4分間昇温し,93℃で7分間保温し測定した.得られた波形から,最高粘度到達温度,粘度上昇開始温度を得た.なお,EDTA・2K溶液の添加は,米粉に内在するアミラーゼ活性による測定値への影響を抑えるためである(高橋ら 1997).

4. 餅生地の調製と硬化性の測定

硬化性の評価法として,1)テクスチャーアナライザー(TA)を用いた餅生地へのプローブ貫入試験による餅硬度の測定値,2)新潟県食品総合研究所で開発された餅生地の曲がり具合を評価する方法(曲がり法)(山本ら 1996)の2種類の評価法を用いた.生産力検定試験では,1)および 2)を,単独系統を用いた検証実験では,1)のみを実施した.

餅生地の調製は以下の通り行った.アミロースオートアナライザーによる計測値と硬化性との関連性調査では,生産力検定試験で得られた700 gの糯米を供試し,洗米,16~20時間吸水および30分間の水切り後に,家庭用餅つき機「もちっ子」(AFC-10F,東芝,東京都)を用いて餅を作製した.餅つき時間は15分間とした.評価法の検証実験には,単独系統から得られた200 gの糯米を供試し,3合餅つき機「つき姫」(みのる産業,岡山県赤磐市)を用いた他は,生産力検定試験供試材料と同様に餅を作製した.TAによる餅硬度測定用の餅生地は厚さ1 cmに成形した.曲がり法用の餅生地の調製には,搗き上がった餅を餅型(長さ50 cm,幅5 cm,厚さ1.5 cm)に入れて棒状に成型した.それぞれ,乾燥を防ぐためビニール袋に入れて5℃,24時間保管後に測定した.

TAはテクスチャーアナライザーTA.XT Plus(Stable Micro Systems,Godalming,英国)を用いた.測定は直径2 mmのプローブを用い,5 gの荷重,2 mm/sの速度で餅生地に5.0 mm貫入させ最大抵抗値(g)を計測した.餅生地の5箇所を測定し,その平均値をTA最大抵抗値(g)とし,餅硬度とした.TA最大抵抗値は数値が大きいほど,硬化性が高いと評価される.

曲がり法では,山本ら(1996)に従い冷却保管後の棒状の餅を釣りかけ器に下げ,水平方向の長さ(cm)を2a,鉛直方向の長さ(cm)をbとし,長さの比(b/a値)を求めて硬化性指標値とした(付図1).b/a値が小さいほど硬化性が高いと評価される.

結果

1. アミロースオートアナライザーによる分析条件の検討

粳米のアミロース分析条件でブランク,粳米標準品および糯4品種(いずれも2016年産)のヨウ素吸収スペクトルを測定した.図1Aに示すように,「はくちょうもち」のヨウ素吸収スペクトルには明瞭なピークが見られなかった.その他の糯品種も同様の傾向を示した.そこで,ヨウ素呈色度を大きくし検出感度を高めるために,横尾ら(1993)の方法にならい,I2/KI溶液濃度を2倍にして上記と同様に分析した.その結果,粳米標準品の600 nm付近のピークにおける吸光度は,標準濃度での測定時に比べて約1.2倍に上昇した.また,「はくちょうもち」においても,500~600 nm付近の吸光度が標準濃度での分析時より高まり,ブランクのスペクトルとも明瞭な差が見られた(図1B).一方で,λmaxはブランク,粳米標準品および糯米品種のいずれにおいても400 nmとなり,特に400~500 nmにかけてのバックグラウンドが高まった(図1B,付表1).そこで,吸光度のピークを検出するために,粳米標準品および糯品種の各ヨウ素吸収スペクトルから,ブランクのヨウ素吸収スペクトルの差分を算出した.その結果,400~500 nmにかけての高いバックグラウンドが差し引かれ,粳米標準品だけでなく,糯品種のヨウ素吸収スペクトルに明瞭なピークが現れた(図1C).糯品種のλmaxは527~531 nm,最大吸光度は0.139~0.160 ABS,そしてIVAは26.4~30.2 ABSとなった(付表2).標準濃度のI2/KI溶液での波形解析値と比較して,濃度を2倍にしたときのλmaxは,小林ら(2000)が報告しているアミロペクチンの吸収波長と同程度の約530 nmの波長が得られ,Aλmaxは3.6~4.0倍,IVAは3.3~3.7倍となった(付表2).

図1.

改良型アミロースオートアナライザーによる粳米と糯米のヨウ素吸収スペクトルの特徴.

A:1×I2/KI溶液(0.2%ヨウ素/2%ヨウ化カリウム溶液)による波形.

B:2×I2/KI溶液による波形.

C:2×I2/KI溶液による波形からブランクの波形の差分の波形.

粳米標準品:アミロース標準品(21.12%)の波形.

ブランク:浸漬液のみの波形.

次に,最適なI2/KI溶液濃度の検証を行った.I2/KI溶液濃度を1.5倍,2.0倍,3.0倍に上昇させた結果,糯米品種のAλmaxは約2.4~4.0倍に増大し,糯米品種のIVAは約2.5~4.5倍に増大した(表1).また,糯米品種間での多重検定の結果,標準濃度のI2/KI溶液では4品種間でAλmax,IVAともに有意差が認められなかったのに対し,I2/KI溶液濃度を上げた場合,いずれの濃度においても,Aλmax,IVAともに高硬化性の「きたふくもち」と低硬化性のその他3品種との間に有意な差が認められた.特に,2倍濃度において「きたゆきもち」と「風の子もち」の間にも有意な差が認められ,品種間差の検出感度が最も高かった(表1).

表1. 改良型アミロースオートアナライザーによる硬化性分析におけるI2/KI溶液の最適濃度の検討
試料名 λmax(nm) Aλmax(ABS) IVA(ABS)
I2/KI溶液濃度 I2/KI溶液濃度 I2/KI溶液濃度
標準1) 1.5倍 2.0倍 3.0倍 標準1) 1.5倍 2.0倍 3.0倍 標準1) 1.5倍 2.0倍 3.0倍
粳米標準品 ​584 ​588 ​587 ​582 ​0.322 ​0.542 ​0.572 ​0.630 ​80.6 ​143.4 ​151.8 ​167.8
きたふくもち ​526 n.s. ​526 n.s. ​526 n.s. ​526 a ​0.090 n.s. ​0.205 a ​0.263 a ​0.353 a ​17.3 n.s. ​40.8 a ​52.6 a ​70.4 a
きたゆきもち ​525 n.s. ​523 n.s. ​523 n.s. ​523 ab ​0.077 n.s. ​0.184 b ​0.240 b ​0.324 b ​14.6 n.s. ​36.2 ab ​47.9 b ​65.0 b
はくちょうもち ​525 n.s. ​525 n.s. ​523 n.s. ​523 ab ​0.076 n.s. ​0.180 b ​0.235 bc ​0.322 b ​14.1 n.s. ​35.1 b ​46.8 bc ​64.8 b
風の子もち ​524 n.s. ​523 n.s. ​522 n.s. ​522 b ​0.073 n.s. ​0.174 b ​0.229 c ​0.317 b ​13.4 n.s. ​33.5 b ​45.3 c ​64.9 b

1) 標準のI2/KI溶液は0.2%ヨウ素/2%ヨウ化カリウム溶液を使用した.

2) 糯米品種間において,異なるアルファベット間で5%水準の有意な差がある(Tukey法).n.s.は有意差が検出されなかったことを示す.

2. ヨウ素吸収スペクトルの波形解析値と硬化性との関係

供試材料の硬化性として,TA最大抵抗値および曲がり法におけるb/a値を測定した.また,改良型アミロースオートアナライザーにおいて標準濃度の2倍のI2/KI溶液濃度を用いて分析を行った.

ヨウ素吸収スペクトルから波形解析値(λmax, Aλmax, IVA, Fr. I/II (530 nm),稲津(1994)が用いた570 nmの吸光度(Aλ (570 nm)),および辻ら(1995)が用いた600 nmの吸光度(Aλ (600 nm))を得た.さらに,RVAの最高粘度到達温度と粘度上昇開始温度,硬化性のTA最大抵抗値とb/a値を測定し,ヨウ素吸収スペクトルの各波形解析値およびRVAと硬化性との相関関係を調べた.

TA最大抵抗値と最高粘度到達温度および粘度上昇開始温度との単相関係数は,4か年の各年次ともに概ねr=0.90を超えて1%水準で有意であった(表2).TA最大抵抗値と波形解析値との関係については,IVAが4か年ともに1%水準で有意な相関を示し,単相関係数はいずれもr=0.90以上であった(表2,図2).その他の波形解析値は,最高粘度到達温度や粘度上昇開始温度と同程度に高い相関係数を示したが,年次変動が大きかった(表2).

表2. TA最大抵抗値とRVAおよび改良型アミロースオートアナライザーによる波形解析値との単相関係数
測定機器 測定項目 2014年n=9 2015年n=10 2016年n=10 2017年n=12
RVA 最高粘度到達温度 0.897 ** 0.951 ** 0.916 ** 0.971 **
粘度上昇開始温度 0.834 ** 0.986 ** 0.928 ** 0.963 **
アミロース
オートアナライザー
λmax 0.629 0.938 ** 0.767 * 0.519
Aλmax 0.895 ** 0.949 ** 0.739 * 0.636 *
Aλ (600 nm) 0.894 ** 0.948 ** 0.762 * 0.986 **
Aλ (570 nm) 0.896 ** 0.946 ** 0.772 * 0.987 **
IVA 0.904 ** 0.912 ** 0.933 ** 0.983 **
Fr. I/II (530 nm) −0.678 * −0.716 * −0.827 * −0.720 **

表中の**,*はそれぞれ1%,5%水準で有意な差が検出されたことを示す.

λmax:最大吸収波長,Aλmax:最大吸光度,Aλ(600 nm):600 nmにおける吸光度,IVA:400~900 nmにおける吸光度の積算値,Fr. I/II(530 nm):400~530 nmの吸光度の積算値を530~900 nmの吸光度の積算値で除した値.

図2.

改良型アミロースオートアナライザーによる硬化性指標IVAとTA最大抵抗値の関係.

生産力検定本試験(A:2014年,B:2015年,C:2016年,D:2017年)供試系統および比較品種「きたふくもち」,「きたゆきもち」,「はくちょうもち」,「風の子もち」を用いた.

いずれも700 gの白米を家庭用餅つき「もちっ子」(東芝)で製餅し,5℃で24時間保管した試料を用いた.TA最大抵抗値は,テクスチャーアナライザーによる5回の貫入試験の平均値を示す.**は相関係数が1%水準で有意であることを示す.

曲がり法のb/a値と各評価値の関係は,TA最大抵抗値とほぼ同様の傾向であったが,相関係数は総じてやや低かった(表3).

表3. 曲がり法b/a値とRVAおよび改良型アミロースオートアナライザーによる波形解析値との単相関係数
測定機器 測定項目 2014年n=9 2015年n=10 2016年n=10 2017年n=12
RVA 最高粘度到達温度 −0.723 * −0.758 * −0.832 * −0.785 **
粘度上昇開始温度 −0.552 −0.803 ** −0.856 ** −0.886 **
アミロース
オートアナライザー
λmax −0.717 * −0.760 * −0.717 * −0.718 **
Aλmax −0.652 −0.775 ** −0.743 * −0.670 *
Aλ (600 nm) −0.673 * −0.768 ** −0.758 * −0.825 **
Aλ (570 nm) −0.678 * −0.768 ** −0.761 * −0.826 **
IVA −0.666 * −0.753 * −0.915 ** −0.845 **
Fr. I/II (530 nm) 0.676 * 0.477 0.733 * 0.603 *

表中の**,*はそれぞれ1%,5%水準で有意な差が検出されたことを示す.

λmax:最大吸収波長,Aλmax:最大吸光度,Aλ(600 nm):600 nmにおける吸光度,IVA:400~900 nmにおける吸光度の積算値,Fr.I/II(530 nm):400~530 nmの吸光度の積算値を530~900 nmの吸光度の積算値で除した値.

3. 改良型アミロースオートアナライザーによるIVAを用いた評価法による選抜の検証

製餅可能な単独系統(F5およびF6世代)および小型餅つき機を用いて,IVAを指標とした評価法が育種過程の選抜初期の材料に対しても有効か検証した.2017年単独系統選抜に供試した54系統,比較品種(「きたふくもち」,「きたゆきもち」),および交配親系統を用いた.TA最大抵抗値との間の相関は,IVAではr=0.86(p<0.01),従来用いてきた粘度上昇開始温度ではr=0.91(p<0.01)であった(図3A, B).IVAと粘度上昇開始温度の関係においてもr=0.89(p<0.01)の相関が認められた(図3C).

図3.

単独系統選抜世代における改良型アミロースオートアナライザーによる硬化性指標IVA,TA最大抵抗値および粘度上昇開始温度の関係.

●:育成系統(F5~F6世代),△:「きたふくもち」,□:「きたゆきもち」,×:交配親・比較品種系統.

**は相関係数が1%水準で有意であることを示す.

200 gの白米を3合餅つき機「つき姫」で製餅したほかは,図2と同様に測定した.「きたふくもち」および「きたゆきもち」は同じ水田内の複数の試験区の試料を用いた.

4. 硬化性の評価法としてのRVAとの比較

硬化性の評価方法として従来から用いられているRVAと本報告で示したアミロースオートアナライザーを用いた提案法を実施し,計測に係る労力や時間等を計測し,表4に集約した.米粉サンプル秤量時間はRVAおよび提案法のいずれも約1分間で同等であった.RVAでは前処理が不要なのに対し,提案法は測定前日に前処理(1日分の測定点数で約30分間)が必要であった.最少サンプル量は,RVAでは3~4 g必要なのに対し,提案法では最少100 mgで計測可能であった.サンプルあたりの測定時間はRVAでは1点10分間程度を要し,1日40点の測定点数となった.一方,提案法では,1点3分間の自動測定で1日150点の測定が可能であった.RVAは連続測定できずサンプル毎にサンプル缶の設置が必要だが,提案法は連続測定可能で1時間に1回,20点のサンプルカップの入れ替えの必要があるのみであった.その他,RVAは専用のサンプル缶とパドルが必要だが,提案法はアミロース分析で用いているサンプルカップの再利用が可能であった.また,提案法はI2/KI溶液濃度の変更のみで済んだため,アミロース分析時と同様の手順で米粉の秤量,前処理,および測定を行い,特殊な操作が不要であった.

表4. 硬化性選抜における従来法(RVA)と改良型アミロースオートアナライザーを用いた提案法の比較
比較項目 従来法(RVA法) 提案法(アミロースオートアナライザー法)
硬化性の選抜指標 粘度上昇開始温度,最高粘度到達温度 IVA
必要なサンプル形状 米粉 米粉
サンプル秤量時間 約1分 約1分
前処理の時間 測定直前にEDTA・2K溶液を加える 前日に浸漬液を加える
最少サンプル量(乾物換算) 3.0 g 100 mg
サンプルあたり測定時間 10分間 3分間
一日あたり測定可能なサンプル数 約40点 約150点
自動分析の可否
連続分析の可否 否(サンプル毎に機器への設置) 可(1時間に1回,20点のサンプルを設置)
その他 測定時の高熱により,専用の缶・パドルが摩耗しやすく,その都度購入が必要 専用のサンプルカップが必要であるが摩耗しづらく長期的に使用可

考察

1. アミロースオートアナライザーによる分析条件の確立

本研究は,改良型アミロースオートアナライザーを用いてIVAを指標とする硬化性の実用的な評価法を開発し提案するものである.本評価法の粳米のアミロース含有率の計測時と異なるポイントは以下の3点である.

1)分析時のI2/KI溶液の濃度を粳米測定時の2倍(0.4%ヨウ素/4%ヨウ化カリウム)にする.

2)測定したい試料のヨウ素吸収スペクトルから,浸漬液のみのブランク試料のヨウ素吸収スペクトルを引いた差分を算出する.

3)400~900 nmの波長域のIVAを算出して硬化性の指標値とする.

辻ら(1995)は,アミロペクチン分子の立体障害によりヨウ素がアミロース様側鎖に取り込まれづらくなる点を考慮し,塩化ナトリウムや他の塩類の添加も試み,塩化ナトリウムの添加により600 nmのヨウ素呈色度と硬化性との単相関係数がr=0.814(p<0.05)からr=0.912(p<0.05)に向上したと報告した.しかし,塩類の添加は機器や用具類の腐食を促進する懸念があり,塩類の添加なしでも既存のRVAによる選抜と同程度の精度を確保することが可能であったことから,多数の検体を扱う育種の選抜初期では塩類の添加は不要と判断した.

2. 開発した評価法を用いた選抜精度の妥当性について

従来型アミロースオートアナライザーを用い,単波長(570 nmまたは600 nm)のヨウ素呈色度から硬化性を推定した過去の報告(稲津 1994辻ら 1995)では,RVAの最高粘度到達温度や粘度上昇開始温度に比べて測定精度が劣っていたが,本評価法におけるIVAを用いた硬化性推定精度は,RVAの最高粘度到達温度や粘度上昇開始温度と遜色ない精度であった(表2,表3,図2).これは,測定および解析方法の改良と選抜指標の選択が適切であったためと考えられる.TA最大抵抗値との相関係数と比較して,曲がり法のb/a値との相関係数は2014年をはじめとして総じてやや低かった(表2,表3).曲がり法のb/a値では,長さを測定した際の数mm程度の誤差によっても値が大きく変化するため,餅生地の硬度を直接測定するTA最大抵抗値よりも,硬化性に関する誤差が大きくなったことが原因の一つと考えられる.

また,単独系統選抜においても,IVAとTA最大抵抗値との関係は,粘度上昇開始温度とTA最大抵抗値との関係と同程度の高い相関を示し,かつIVAと粘度上昇開始温度も高い相関を示した(図3).したがって,IVAは硬化性を推定する選抜指標として耐えうる精度が確保されているものと考えられる.単独系統選抜における相関係数は,生産力検定のサンプルにおいて認められた相関係数よりも低かった.その理由として,単独系統からのサンプル量がもちつき機標準使用量と比較して少量であったことで,餅生地の不均一性を生じやすく,これがTA最大抵抗値の測定誤差を増大させたためと想定される.特に硬化性の高い餅生地ほど不均一になりやすいことから,「きたふくもち」や硬化性の高い系統において,TA最大抵抗値の測定誤差が大きくなったものと考えられる.

3. アミロペクチン鎖長との関連について

ヨウ素吸収スペクトルから得られる波形解析値(λmax, Aλmax, IVA, Fr. I/II, Aλ (570 nm),およびAλ (600 nm))のうち,IVAが最も硬化性との相関が高かった(表2,表3).糯米デンプンはアミロペクチンのみで構成されており,アミロペクチンが硬化性を決定する主要な要因である(Okamoto et al. 2002Suzuki et al. 2006五十嵐ら 2008小玉 2012).アミロースを含まない糯米では,本研究の条件においてアミロペクチンによるヨウ素吸光スペクトルが,高精度に抽出され,その積算値が硬化性を適切に反映していたことになる.

糯米デンプンを構成するアミロペクチン分子は枝分かれが多く,鎖長は様々である.アミロースオートアナライザーで検出されるヨウ素吸収スペクトルは,アミロペクチンの中でも長い分子間側鎖(アミロース様側鎖)を示していると指摘されている(横尾ら 1993辻ら 1995).例えば,ヨウ素吸収スペクトルから得られるλmaxに関しては,アミロペクチンの直鎖状部位の鎖長によりλmaxが変動すること,硬化性が異なる「こがねもち」と「わたぼうし」の間にλmaxの差が5 nmあることが報告されている(小林ら 2000五十嵐ら 2009).また,鎖長とヨウ素呈色度の関係について,糯米のアミロペクチンに占める重合度が37以上のfb3長鎖の割合とヨウ素呈色度に有意な相関(r=0.78,p<0.01)があることが報告されている(Suzuki et al. 2006).したがって,硬化性の異なる供試材料によってアミロペクチン鎖長をはじめとするアミロペクチン構造の質的な変動がヨウ素吸収スペクトルへ影響を及ぼすことから,ある特定の単波長におけるヨウ素呈色度よりも多波長のヨウ素呈色度を積算した方が,より正確にアミロペクチン鎖長を推定することができ,結果としてIVAの硬化性推定精度が最も高かった可能性が示唆される.I2/KI溶液濃度に関して,アミロース分析と同濃度の条件では検出される吸光度が低かった.アミロペクチンの最長鎖の重合度はアミロースの重合度に対して少なく,長鎖の鎖長は短いことが知られている(竹田 2011).このため,アミロースの分析条件で用いるI2/KI溶液濃度より高濃度にすることが必要であると考えられた.また,400~900 nmのヨウ素吸収スペクトルを得る場合の溶液濃度は,単波長の測定を行った横尾ら(1995)の方法と同程度の2倍濃度で十分であった.以上のように,IVAによる評価と適切なI2/KI溶液濃度の選択が,改良型アミロースオートアナライザーによるアミロペクチン鎖長の特性の精度よい検出に繋がったと考えられる.IVAと実際のアミロペクチン鎖長分布との関係性についての詳細な解明は残された課題である.

4. 開発した硬化性評価法の選抜手法としての実用性

硬化性は糯品種の育成において極めて優先度の高い形質であるため,多数の材料を扱う選抜初期においてもサンプル量と労力をかけて形質評価を行ってきた.本研究において提案する改良型アミロースオートアナライザーによる評価法は,RVAによる従来法と比較して 1)少量のサンプルに適用可能,2)1点あたり半分以下の測定時間で計測可能,3)機器による自動連続分析が可能,以上の3つの利点を有していた.実際に単独系統を評価したところ,TA最大抵抗値と高い相関が認められ,その有効性が確認できた.改良型アミロースオートアナライザーは,粳米のアミロース分析で広く運用されており,既存の分析準備および操作とほぼ同様の手順で測定が可能である.

本報告は硬化性タイプおよび産年が異なる複数の材料について,改良型アミロースオートアナライザーを利用することで糯品種のアミロペクチンの特性を効率よく高精度に評価することが可能であることを示したものである(図2).本研究の材料は北海道産の糯品種に限定されている点は留意すべきものの,アミロペクチンの特性とヨウ素吸収スペクトルとの本質的な関係は,糯品種の産地が変わっても維持されることが想定される.一方,近年アミロペクチン構造に関与する酵素に関する知見が蓄積され,特徴的なアミロペクチン構造をもつ実用品種の育成(鈴木ら 2019)や,インド型の多収品種の開発が進んでいる(太田ら 2012).ジャポニカ型のアミロペクチン構造と大きく異なる構造を示す材料や遺伝的背景が異なる材料に対しての本評価法の適用の可能性については今後検討が必要である.また,本評価法を運用する際には,硬化性が登熟気温の影響を受けることを鑑み,気象条件による年次変動に留意するとともに,比較品種として当年産の明瞭な差異がある品種を用いることが望ましい.本評価法が広く普及することで,今後の効率的な糯品種開発に貢献することが期待される.

電子付録

付表1.アミロースオートアナライザーによる硬化性分析においてI2/KI溶液濃度を2倍にした場合のヨウ素吸収スペクトル解析値に与える影響

付表2.アミロースオートアナライザーによる硬化性分析においてI2/KI溶液濃度を2倍にした場合のヨウ素吸収スペクトルとブランクとの差分(補正値)に与える影響

付図1.曲がり法による硬化性測定法と供試品種の硬化性

謝辞

本研究の遂行にあたり,北海道立総合研究機構農業研究本部(道総研農研本部)上川農業試験場研究部水稲グループの研究補助契約職員,圃場管理スタッフ,および研究員には多大なご協力をいただいた.本論文の作成に際し,農研機構・次世代作物開発研究センターの梅本貴之博士,道総研農研本部北見農業試験場の五十嵐俊成博士,道総研農研本部上川農業試験場の岡元英樹博士から貴重なご意見をいただいた.関係各位に対し,深く御礼申し上げる.本研究は,北海道もち米団地農協連絡協議会による受託研究試験の一部で行われた.

引用文献
 
© 2020 日本育種学会
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