育種学研究
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原著論文
  • 小林 史典, 小島 久代, 石川 吾郎, 乙部 千雅子, 藤田 雅也, 中村 俊樹
    2020 年 22 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/07/04
    [早期公開] 公開日: 2020/02/01
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    電子付録

    北海道の超強力秋播きコムギ品種の「ゆめちから」は,コムギ縞萎縮病に対して高度な抵抗性を示し,抵抗性に関与するQTLのQ.Ymymを保有する.Q.Ymymは2D染色体長腕に座乗し,麺色に影響を与える高活性型のポリフェノール酸化酵素(PPO)遺伝子(Ppo-D1b)と強連鎖関係にある.そのため,罹病性品種へのQ.Ymymの導入にはPpo-D1bが伴い,麺の色相低下が問題となっている.本研究は,Ppo-D1bQ.Ymymの強連鎖を解消し,麺の色相が改善され且つコムギ縞萎縮病抵抗性を持つ系統の開発を目的とした.参照ゲノム配列情報を用いた物理地図と解析に用いたDNAマーカーの位置より,Ppo-D1Q.Ymymとの距離は約19.7 Mbであり,組換え型の取得が可能な距離と推定された.そこで,「ゆめちから」と罹病性品種の「タマイズミ」との連続戻し交雑系統から,Ppo-D1Q.Ymymとの間で遺伝的組換えが生じた個体のDNAマーカー選抜を行った結果,低活性型のPPO遺伝子(Ppo-D1a)とQ.Ymymを持つ系統(Ppo-D1a/Q.Ymym系統)が選抜できた.同系統はコムギ縞萎縮病汚染圃場(I型,III型)において明らかに抵抗性を示した.また,フェノール反応試験においても,Ppo-D1bを持つ系統に比べて低いPPO活性を示した.さらに中華麺色相評価では,Ppo-D1bを持つ系統に比べて色相の劣化が抑えられており,その差は明瞭であった.以上のことから,Ppo-D1a/Q.Ymym系統を母本に用いることでQ.Ymymの導入の際に懸念される品質面での問題点が解決できると期待される.また,同系統とこれまでに開発されたPpo-D1aおよびQ.Ymymの選抜マーカーを組合せることで,縞萎縮病抵抗性育種の効率化が図られる.

  • 道満 剛平, 平山 裕治, 佐藤 毅, 田中 淳一
    2020 年 22 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/07/04
    [早期公開] 公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    イネの糯品種には餅生地の硬化が速い品種と遅い品種があり,用途により求められる餅硬化性(以下,硬化性)が異なることから,硬化性の評価は糯品種の育成過程に不可避である.餅生地の作製は大量の原料米の確保に加え,多大な労力と時間が必要なため,膨大な点数を扱う選抜初期においては,簡易かつ効率的な評価法の開発と選抜指標が求められてきた.本研究では,育種現場にも導入されている改良型のアミロースオートアナライザーを利用し,硬化性の初期世代からの効率的選抜に適用可能な評価法を開発したので報告する.波長域400~900 nmのヨウ素吸収スペクトルを測定し,添加するI2/KI溶液濃度を粳米測定時の2倍にしてブランクのヨウ素吸光スペクトルとの差分を算出することで,糯米のアミロペクチンによるヨウ素吸光スペクトルを効率よく抽出することができた.糯米のヨウ素吸光スペクトルから硬化性との関係の深い解析値を検討した結果,各波長の吸光度の積算値(IVA)が24時間後の餅硬度および曲がり法におけるb/a値と高い正の相関を示すことを見出した.この相関はラピッドビスコアナライザー(RVA)による粘度上昇開始温度や最高粘度到達温度等の従来利用されてきた硬化性指標のそれと遜色ないものであった.当評価法の有効性検証のために選抜初期の育種集団に適用したところ,IVAと餅硬度の間に高い相関が認められた.開発した手法は,RVAを用いる方法と比較して,1)極少の米粉量で測定可能,2)サンプルあたり半分以下の測定時間で計測可能,3)自動連続分析が可能,以上の3つの利点を有していた.当評価法は,硬化性の選抜初期からの効率的選抜を可能にし,糯米品種育成の効率化や硬化性の高い「きたふくもち」や硬化性の低い「風の子もち」等の特徴ある硬化性を持つ糯品種の育成に資することが期待される.

ノート
特集記事 2019年第61回シンポジウム(シンポジウム・ワークショップ)報告
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