育種学研究
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原著論文
Brassica rapa var. pekinensis(AA)とB. oleracea var. capitata(CC)との種間雑種系統(AACC, AAC)におけるCゲノムの形質発現効果
張 斌柿原 文香加藤 正弘
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2002 年 4 巻 2 号 p. 67-75

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抄録
Brassica rapa var. pekinensis(2n=20, AA)とB. oleracea var. capitata(2n=18, CC)との複二倍体系統(2n=38, AACC)および二基三倍体系統(2n=29, AAC)を用いて, 諸形質の発現様式および雑種系統に対するCゲノム全染色体の添加による遺伝的効果を解析した. 株形, 草丈, 球高, 球形, 葉形, 外葉のワックスおよび中肋の形などの形質については, 二基三倍体系統はよりAゲノム種系統の形質に, また, 複二倍体系統はよりCゲノム種系統の形質に近く, これらのCゲノム種系統の遺伝諸形質は累積的効果を持つと考えられる. 外葉の葉柄および葉の切れ込みについては, 二基三倍体系統と複二倍体系統はCゲノム種系統の形質を示した. 地上部全重および球葉重についても, 種間交雑系統の優勢的効果が認められ, しかも, これらCゲノム種系統の遺伝的形質は累積的効果を持つと考えられる. また, 種間交雑系統は結球性の弱化によって, 外葉数および外葉重が増加し, 球葉重の割合が低くなった. 可食部位の可溶性糖含量についても, Cゲノム種の遺伝形質は累積的効果を示した. これら諸形質の全体的特性を明らかにするために主成分分析法を行ったところ, 結球型系統の19形質を第1主成分と第2主成分に要約できた. 第1主成分は主に形態形質から構成され, 第2主成分は主に収量に関わる形質から構成された. 第1主成分と第2主成分から見ると, これらCゲノム種の遺伝諸形質は累積的効果を持つと考えられる. また, 第2主成分(主に収量に関わる形質)では種間交雑系統の優勢的効果が現れた.
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© 2002 日本育種学会
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