論文ID: 21J09
作物の形質を省力的に評価するためには,無人航空機(UAV)を用いたリモートセンシングが有用である.UAV空撮画像によるイネ稈長の推定可能性を明らかにするため,水田圃場においてReal-Time Kinematic-Global Navigation Satellite System(RTK-GNSS)を搭載した機体を用いて空撮を行った.得られた画像セットからStructure from Motion(SfM)により3次元点群を構築し,その空間精度を評価するとともに,イネの推定草高を抽出し実測稈長との相関を調べた.カメラに角度をつけて空撮を行った画像セットを用いた場合(カメラ角度−60°)では,カメラを真下に向けて空撮を行った画像セットを用いた場合(カメラ角度−90°)と比較して,検証用地点の空間誤差は小さかった.また,カメラ角度−60°の画像セットを用いた推定草高と,実測イネ稈長の相関係数(r)は,地上基準点(GCP)を使用しない場合で,撮影高度25 mでは0.897~0.924,50 mでは0.903~0.922,75 mでは0.881~0.900であった.カメラに角度をつけて空撮を行った画像セットからSfMにより3次元点群を構築し,草高を解析することで,試験圃場におけるイネ稈長を推定可能であることが示唆された.