論文ID: 23J03
「ゆめいころ」は,地方独立行政法人北海道立総合研究機構北見農業試験場(北見農試,北海道訓子府町)にて育成された“早生”の生食用バレイショ品種である.「男爵薯」との置き換えが可能なジャガイモシストセンチュウ抵抗性の早生品種育成を目指し,「男爵薯」を母,「北系39号」を父として,2010年に人工交配を実施し,その後代より育成された.北見農試における「ゆめいころ」の枯ちょう期は「男爵薯」同様の“早生”で,上いも(20 g以上のいも)の平均重が「男爵薯」より10 gほど重く,収量性は「男爵薯」より優れる.また,生食用向けの規格内いも(60~260 gのいも)収量は「男爵薯」に比べて10%多い.病虫害抵抗性は,ジャガイモシストセンチュウ抵抗性と“中”程度のそうか病抵抗性を併せ持つ.塊茎の肉色は「男爵薯」同様“白”で,目の深さが「男爵薯」より浅いことから,剥皮歩留まりの向上が期待され,このことは調理加工用途での優点となる.水煮いもの肉質は“やや粉質”の「男爵薯」と“粘質”の「メークイン」の中間で,しっとりとした食感である.「ゆめいころ」を北海道におけるジャガイモシストセンチュウ発生地帯の「男爵薯」と置き換えて普及することにより,北海道におけるバレイショの安定生産および栽培振興に加え,北海道畑作の輪作体系維持に貢献できる.