抄録
ビール大麦に発生する被害粒の一つである凸腹粒発生の気象要因と発生時期について調査した. 1989-1997年度の凸腹粒の発生には年次間差があり, 1990, 1994, 1996, 1997年度で多発し, また品種間差があった. 各年度の凸腹粒発生と成熟期前15日間の降水量との関係を解析した結果, 成熟期前15日間における25mm以上降雨日数との間で有意な正の相関が見られ, その日数が2日以上の年には凸腹粒が多発した. そこで1997年度のあまぎ二条を供試し, 成熟期前14日, 同9日, 同4日に穂をパラフイン紙で覆い, その後の降雨を回避したところ, 成熟期前14日と同9日以降の降雨を回避した穂は凸腹粒の発生はなかったが, 同4日以降の降雨を回避した穂では, 無処理の穂と同程度に凸腹粒が発生した. このことは, 成熟期前4日以前の降雨で凸腹粒がすでに発生し, その後の降雨は凸腹粒の発生に影響しないことを示している. したがって, 登熟中後期から成熟期までの断続的な人工降雨処理により, 凸腹粒抵抗性選抜の可能性が示唆された.