育種学雑誌
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人為突然変異の利用に関する育種学的研究 : II. 水稲のγ線照射後代X3における突然変異の発現について
山県 弘忠赤藤 克己
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1963 年 13 巻 1 号 p. 14-20

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抄録
(1)水稲銀坊主,愛国およびそれらの間の固定型雑種2系統の60C0-γ線照射後代X3を用い,銀坊主とくにその出穂期を中心に,X2に得られた結果ならびにX3に発現した突然変異の検討を行なった。(2)X2における変異体認定の精度は形質によって異たり,芒,俘光色だとの質的形質に比べて.量的形質ごとに穂密度,籾型たどではか次り低いが,いずれの場合も変異体の認定は有意である。(3)X2では,ある形質について,外見上正常な個体の中にもかなりの頻度で突然変異体の含まれれている場合が多く,またその割合から,形質によって突然変異の生起に難易のあることがうかがわれる。(4)特殊な場合を除き,一般にX2の表現型から,X3に発現する変異の種類,方向あるいはその程度たどを予測することは困難ないし不可能である。(5)X3には,X2でみられたかったようた,新しい種類あるいは著しい変異程度の突然変異体の発現が多く,早生,強程,多収その他育種素材として有望と考えられるものも少たくない。また,これら変異の成因はきわめて多様であると推察される。(6)以上の結果に基づき,突然変異体の効果的た獲二得法だと,育種学的観点より考察を行なった。
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