育種学雑誌
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レンゲの硬実率にみられる変異とその遺伝に関する研究
赤藤 克己川端 習太郎村田 紀
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1963 年 13 巻 1 号 p. 21-24

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抄録
(1)レンゲの硬実率が遺伝的なものであるか否かについては従来かたり論議が行なわれてきたが,いまだ明確な結論を出すまでには至っていたい。そこで筆者らは1960年から'61年にわたり105の自殖系統を用いて,その硬実率を調査し,この問題に結論をあたえようとした。えられた結果はつぎのごとくである。(2)硬実率は系統によって異なり,1960年においては系統平均値2.8%の系統から52.3%の系統まで存在し,1961年においても前年同様,2.1~59.5%の変異がみられた(第1図)。この場合,系統間分散は系統内分散に比し統計的に極めて有意に大であり(第1表),これは理実率が明らかに遺伝的たものであることを示すものと考えられるが,さらに分散分析の結果から遺伝カを言十算すると,系統平均値についてはO.8~0.9,個体についても0.6~O.7といずれも極めて高い値となり,また1960年と'61年との親子相関の値も十0.42とかなり高い値を示した。これらの結果は,レンゲの硬実率には,ある程度,環境も影響をあたえるが,同時に遺伝的た要因がより大きく作用していることを示すものと考えられる。(3)種子に関する語形質と硬実率との関係についてみると,粒長,粒厚および粒色は,ともに硬実率とは明確た関係はなく,ただ粒重のみが重いものほど硬実率の高くなる傾向を示した。
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