抄録
柱頭ならびに節間の着色は,長尾(1951)によって花脊索着色の基礎遺伝子CおよびAの直接の表現の如くにみとめられた。その後高橋(1958)により,柱頭着色には務先分布遺伝子1〕に支配されるものの他に,稀に柱頭分布遺伝子Psの支配によるもののあることが明らかにされた。ただし柱頭の着色をあらわす基礎遺伝子型はC^BAおよびCBpAにかぎられるといわれている。本実験によれば,柱頭着色には常に固'有の分布遺伝子Psが,また節間の着色にはPinが関与しているものと考えられる。更に柱頭着色の場合の基礎遺伝子型にCBrAが含まれ,高橋(1958)の記述とは一致しない。 柱頭や節間の着色は,通常無色に対して優性に行動するが,この逆の場合が発見され,さらに柱頭着色品種相互間のF1で無色の場合が一交雑発見された。これらの機構については不明である。 葉身・葉鞘着色分布遺伝子PlaおよびPlmに対する抑制遺伝子IplaおよびIpimの存在が推論された。これらは抑制作用の程度の多様なることから,いくつかの型に分類される。それらの型とそれをもつ品種の地理的分布との「聞には密接な関係がみとめられた。