育種学雑誌
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13 巻, 4 号
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  • 谷口 晋, 櫛淵 欽也, 中根 晃
    1963 年13 巻4 号 p. 205-210
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    The extensive experiment on rice responses to its environmental conditions has been studied at a great number of agricultural experimental stations throu-ghout Japan since 1948. The analysis of these data gives many useful informations to both rice breeders and research workers on rice. This report is a part of this kind of analysis, especially from the standpoint of rice breeder. The analysis of variance on data which are derived from experiments in Tohoku, Hokuriku and Kanto districts shows us following interesting informations.
  • 武田 元吉, 菅 益次郎
    1963 年13 巻4 号 p. 211-216
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    6条裸麦を用いて,その乾燥種子にX線15krを照射L,突然変異育種における栽植方法および選抜方法の比較検討を行たった。栽植方法にはつぎの3種類を用いた。Method A(1株3粒法):X1植物の1株より3穂をとり,それぞれの穂から1粒を採種して,X2で集団栽増した。Method B(穂別系統法):X2で系統栽培した。Method C(個体別系統法):X1植物の1株より3穂をとり,混合して1系統とし,X2。で系統栽培した。おもに,Method AとB,C間について比較検討した。また,とりあげた主要形質は早生と短桿で,選抜はX2で行たい(第1表),変異体の特性はX3で確認した(第2,3表)。Method A-II(第1表)の短桿は簡単な測定選抜により,その他の選抜は観察によった。 1)Method AではMethods B,Cよりも変異型種類数をX2で多く含み,また現品種よりもいちじるしく変わった変異を含んでいた。このような結果はYOSHIDA(1962)の指摘と同じ傾向を示すものであろう。 2)X2選抜方法に相異を与えた短桿選抜では,Method A(I十II)のほうがB,Cより確実に変異体を選抜していた。結局,簡単な測定を加えた選抜のほうが系統肉眼選抜よりもまさるのであろう。
  • 山口 彦之
    1963 年13 巻4 号 p. 217-223
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Eight test varieties were chosen and were crossed with each of 47 varities (30 upland rice and 4 'red rice' from Japan and 13 Eastern Asian countries) to examine mutual sexual affinity among rice varieties. The sexual aflimity was measured by the percentage of viable pollen in F1 hybrids. The results are summarized as follows : 1. No difference was found between reciprocal crosses (Fig. 1). 2. The pollen fertility of the F1 hybrids was different with the combination of parental varieties and ranged discontinuously from about 100% to O% (Table 2) . 3. It seemed that F2 variation for intervarietal hrybrid sterility was discontinuous and that the modes observed in F2 variation were coincident with those in intervarietal combinations (Table 3). The intervarietal hybrid sterility could be accounted for by duplicated genes (Table 4) . 4. From the observation of anomalous segrega-tions for anthocyanin pigmentation and glutinuous character, it. was assumed that the duplicated genes belonged frequently to "wx"-group (Table 6) . 5. By separating the varieties with similar affmity to each of the test varieties, Japanese upland rice was divisible in to three groups. Group I, to which most varieties belonged, was again classified into two types, corresponding to 'Lowland Type' and 'Upland Type' respectively (Fig. 2).
  • 戸田 正行, 三木 昌平, 中田 猛
    1963 年13 巻4 号 p. 224-228
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    六条大麦(品種コウゲソムギ)の気乾種子に30kr.のγ線を照射し,それから作ったR^13-R^14-・R^22_3-・R^23_4系統において出現した幼苗変異を観察し,次のような結果を得た。 葉緑体変異系統の中には異常た分離比を示す系統が多く,総変異系統数(164系統)の21%にも及んだ。この異常分離は染色体欠失に原因するように思われる。異常分離比系統がこのように多いことは,変異系統の発見および取扱いの上から,実際育種.丘考慮を要する点てあろう。 葉緑体変異の種類と頻度とは環境如何によって変化した。生活力が弱いと考えられるところのalbinaやxanthaは低温下では発見されにくい傾向があり,また生育時期や場所によって形質の発現の仕方が変化した。このことは変異体の発見の面から,実際育種上考慮すべき点と考られる。 次に2世代連続照射は変異率を倍加するので育種上有効であることがわかった。またこの場合,できるだけ変異率を高めるためには卓論性の良い株の稔性のよい穂を選択すべきでおることがわかった。 葉緑体変異のスペクトラムはX線で得られた諸結果とほとんど同じであった。 葉緑体変異以外の幼苗変異もかたり多く生じたが,これらは植物体の外観および出現状況からみて,大部分が染色体異常に起因するように、慰われた。
  • 細川 定治, 加藤 勝信
    1963 年13 巻4 号 p. 229-234
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    てん菜の自殖種子を得ることを目的として,母根を縦割にして2つの栄養系にわけ,その一方に対して勇葉,および遮光処理をおこたって交配した場合,その自家不稔性にいかたる影響をおよぼすかについて1952~1954年にわたて調査をおこたった。その結果をつぎに要約した。1.てん菜の自殖による結実は一般に非常に困難でおるが,同一一個体の栄養系の一方に対して勢枝,勇葉および遮光処理をおこたって交配をした場合,最高16%の稔実が得られた。2.遮光処理の場合,同一栄養系の処理区の方に結実歩合が高かった。 3.遮光処理に藩および花粉の異常が多少認められ,また雌雄蕊のいづれも処理によって酸化還元電位に差異を生ずることが認められた。4.葉柄テストによって生体栄養の簡易測定をおこった結果,とくに処理区に硝酸態窒素および燐酸の多く集積する傾向があった。以上の結果からして,個体や系統間の差異はあっても,同一栄養系の一方に遮光だとの処理をおこなって自家不稔性を変化させ,自殖種子を得る可能性が認められた。
  • 下間 実
    1963 年13 巻4 号 p. 235-240
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    スイカの果実および種子の砂質の遺伝現象を栽培種の1品種,地大和(V.No.1)とアフリカ原産の野生型の2系統(V.No.3および5)に一ついて調べた。 野生スイカの果皮には縞模様があり,果肉は白色で苦味物質を含むもの(V.No.3)と含まないもの(Y.Nc,5)があり,種子は白色(V.No.3)あるいは褐色(V.No.5)で大型である。地大和の果皮は縞がたく、果肉は赤色で甘味をもち,種子は褐色で中型である。これらのF1雑種の果実は結果皮で果肉は白色,種子は褐色,中型で,苦味×無味(または甘味)は苦味,無味×甘味は無味である。果実の大きさおよびおもさに関してはF1雑種は両親のほぼ中間型である。F2では果皮の模様は縞(49)と無縞(24),果肉の苦味形質は苦味(47)と無苦味(17),種子の大きさは中型(77)と大型(24)に一分離し,分離比はいずれも3:1でそれぞれ前者が後着に対して優性でメンデル性1因子遺伝をする。果肉色はF2において白(62),黄(10)および赤(2)の3色に分離し,その分離比は12:3:1である。果肉色の遺伝は2因子が関与し,白色はWY,黄色はwY赤色はwyによって表わされ,WはYに対して上位に働く。
  • 近藤 晃
    1963 年13 巻4 号 p. 241-245
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    柱頭ならびに節間の着色は,長尾(1951)によって花脊索着色の基礎遺伝子CおよびAの直接の表現の如くにみとめられた。その後高橋(1958)により,柱頭着色には務先分布遺伝子1〕に支配されるものの他に,稀に柱頭分布遺伝子Psの支配によるもののあることが明らかにされた。ただし柱頭の着色をあらわす基礎遺伝子型はC^BAおよびCBpAにかぎられるといわれている。本実験によれば,柱頭着色には常に固'有の分布遺伝子Psが,また節間の着色にはPinが関与しているものと考えられる。更に柱頭着色の場合の基礎遺伝子型にCBrAが含まれ,高橋(1958)の記述とは一致しない。 柱頭や節間の着色は,通常無色に対して優性に行動するが,この逆の場合が発見され,さらに柱頭着色品種相互間のF1で無色の場合が一交雑発見された。これらの機構については不明である。 葉身・葉鞘着色分布遺伝子PlaおよびPlmに対する抑制遺伝子IplaおよびIpimの存在が推論された。これらは抑制作用の程度の多様なることから,いくつかの型に分類される。それらの型とそれをもつ品種の地理的分布との「聞には密接な関係がみとめられた。
  • 近藤 晃, 水島 宇三郎
    1963 年13 巻4 号 p. 246-249
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1. VII,VIII報の継続として,俘先における花青素着色のF2分離を基礎として供試品種の遺伝子型の同定を行なった。2. 供試品種は,日本産品種5(そのうちの1つは大陸起源の陸稲である),インド産品種3および日本産の分析品種9の合計17である。3. 供試したF2の交雑組合せは,日本産品種×日本産品種…12,戦捷×日本産品種…6,日本産品種×インド産品種…3,および,インド産品種×インド産品種… 2の合計23である。 4.VII報で,遺伝子型既知の分析品種と交雑したFBの表現型から同定された各品種の遺伝子型が,妥当であることが明らかになった。
  • 赤藤 克己, 川端 習太郎
    1963 年13 巻4 号 p. 250-254
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    本報は,前報(1961)にひきつづき,レンゲにみられる雑種強勢とその利用について実験を行放ったもので,えられた結果ならびに結論はつぎのごとくである。 (1) 8自殖系統間のあらゆる交配組合音のF128系統の生草重は、1個体平均重289.2gから488.5gまでの,またF1一MP(両親の平均値)では368.9gから163.8gに至る巾の広い変異が認められ,雑種強勢の利用には,まず高収量を示す組合せの選抜糸重要であることを確認した。なお,自殖による収最の減退は,雑種化することによって平均的には,ほぼ回復するが,組合母により,原系統の収量を上廻るものもかたり存在する。 (2)一般組合せ能力の一検定方法として,自然交雑種子を用いる方法を検討したところ,各系統の自然交雑とdiallel crossの両雑種系統間に正のかなり高い相関が認められる。このことは自然交雑種子によっても,ある程度,一般組合せ能力の検定が可能であることを示している。 (3)親系統を混植することによってF王を自然状態で採種し,その収量をみたところ,代表的品種岐阜大晩生種より有意にすぐれた系統がえられている。(4) 自然交雑によるF1種子中には,自腹もしくは姉妹交雑種子が多少混入するが,実際栽培程度に密植すれば,多少,自殖種子がF1種子中に混入しても,競合によって全体の収量には,それほど大きな影響を及ぼさない。これは,F1種子の大量採種上,きわめて好都合なことである。 (5)本報ならびに前報(1961,1962a)の結果からレンゲ育種における雑種強勢の利用は,実用的にきわめて有望であると結論される。
  • 山県 引忠, 赤藤 克己
    1963 年13 巻4 号 p. 255-262
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1. 突然変異の効果的誘起法に関する基礎資料を得ることを目的として,水稲品種銀坊主の鉢植え植物を用い,出穂前4~5週間より出穂期に至る種々の発育段階に,X線による高線量率照射を行なった。 2. 出穂,草丈,稗長,着化数,稔性,穂型および籾型について,照射当代における障害発現の状態を調べ,次の結果を得た。 i)各形質における障害の程度は,いずれの発育段階においてもほぼ線量に比例する。なお,視認容易な障害を生ぜしめる線最は概して5kr以上である。 ii)各形質における障害発現の状態は発育段階によって異なり,またこのようた発育段階による相異の傾 向は形質によって異たる。 iii)実験結果に基づいて不稔および異型頴花の発現機構を検討し,高線最率照射の意義について考察を行なった。
  • 山県 弘忠, 赤藤 克己
    1963 年13 巻4 号 p. 263-268
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1. X線による生体照射の効果を明らかにするために,水稲品種銀坊主の、出穂4~5週間前より出穂直前に至る種々の発育段階の穂に,O,5~30krのX線(12~110r/min.)を照射して得られた種子を用いて,次代鑑定を行なった。 2.種子の出芽率は減数分裂期以後の照射で低下しやすく,20krで出芽不能に近くなる。なお低線最照射区(1kr)において,発育段階により出芽率が異常に低下する現象カミ認められる。 3.葉緑変異体、稔性変異体およびその他の生理的,形態的変異体に関して次の成績を得た。 i)いずれの変異体も,出現率はほぼ線巌に比例する。 ii)稔性変異体の出現率は,減数分裂期を境にその前後で10倍近い差を示すが,稔性以外の形質に関する変異体については,発育段階による違いは認め難い。 iii)変異のスペクトラムと,発育段階または照射当代に生じた障害の種類との間には,特定の関係は認められない。 4.低線最照射によって生じた出芽の異常,ならびに照射次代における変異体の出現に関して考察し,さらに育種学的立場から実験結果の検討を行なった。
  • 小餅 昭二
    1963 年13 巻4 号 p. 269-276
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    熟期その他の形質を衆にするナス6品種の,逆交雑を含まない2面交雑により,果実収量を栄養生長との関連において分析し次の結果をえた。 1) 果実収量は,15組合わせのF1中,1組合わせのF1を除きすべてヘテローシスを示した。その総成要素では,一果均量は同一基準の小果で収穫したにもかかわらず,F1は一般に両親より高く,果数も一般にヘテローシスを示した。 2)果実収量および草重を対にして,直角座標で図示することにより,「民田」を共通親とする系列と,他の品種およびF1の系列との2群に分けることができた。 3) この関係をR=(R/V)・Vなる式(Rは果実収量,Vは栄養生長量)で表わし,2群間の差はR/V構成の差により,各群内の差はVの差によることを示した。 4) 「民田」と「「久留米長」の肌合わせで,R/V構成のF2分離を調査した結果,「民田」の高いR/V構成はひとつの遺伝形質であり,完全優性の形で遺伝することが確かめられた。 5) POWERS(1945)のトマト,ODLAND and NOLL(1948)のナスに関する資料を検討し,同様の結果がえられた。 6) 本実験を含み,これらの資料において最高の収量を示したのは,いづれもR/V構成の高い系統と,栄養生長が最大の系統との間のF1であった。 稿を終えるに当り,種々御指導戴いた当研究室の宮下揆一室長,早瀬広司博士,並びに,本稿の御校閲を賜った,てん菜研究所の須藤千春博士に衷心より感謝致します。
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