育種学雑誌
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栄養生長との関連における雑種ナスの果実生産力
小餅 昭二
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1963 年 13 巻 4 号 p. 269-276

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抄録

熟期その他の形質を衆にするナス6品種の,逆交雑を含まない2面交雑により,果実収量を栄養生長との関連において分析し次の結果をえた。 1) 果実収量は,15組合わせのF1中,1組合わせのF1を除きすべてヘテローシスを示した。その総成要素では,一果均量は同一基準の小果で収穫したにもかかわらず,F1は一般に両親より高く,果数も一般にヘテローシスを示した。 2)果実収量および草重を対にして,直角座標で図示することにより,「民田」を共通親とする系列と,他の品種およびF1の系列との2群に分けることができた。 3) この関係をR=(R/V)・Vなる式(Rは果実収量,Vは栄養生長量)で表わし,2群間の差はR/V構成の差により,各群内の差はVの差によることを示した。 4) 「民田」と「「久留米長」の肌合わせで,R/V構成のF2分離を調査した結果,「民田」の高いR/V構成はひとつの遺伝形質であり,完全優性の形で遺伝することが確かめられた。 5) POWERS(1945)のトマト,ODLAND and NOLL(1948)のナスに関する資料を検討し,同様の結果がえられた。 6) 本実験を含み,これらの資料において最高の収量を示したのは,いづれもR/V構成の高い系統と,栄養生長が最大の系統との間のF1であった。 稿を終えるに当り,種々御指導戴いた当研究室の宮下揆一室長,早瀬広司博士,並びに,本稿の御校閲を賜った,てん菜研究所の須藤千春博士に衷心より感謝致します。

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