育種学雑誌
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人為突然変異の利用に関する育種学的研究 : IV. 発育段階を異にする水稲へのX線照射が照射次代の変異におよぼす影響
山県 弘忠赤藤 克己
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1963 年 13 巻 4 号 p. 263-268

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抄録

1. X線による生体照射の効果を明らかにするために,水稲品種銀坊主の、出穂4~5週間前より出穂直前に至る種々の発育段階の穂に,O,5~30krのX線(12~110r/min.)を照射して得られた種子を用いて,次代鑑定を行なった。 2.種子の出芽率は減数分裂期以後の照射で低下しやすく,20krで出芽不能に近くなる。なお低線最照射区(1kr)において,発育段階により出芽率が異常に低下する現象カミ認められる。 3.葉緑変異体、稔性変異体およびその他の生理的,形態的変異体に関して次の成績を得た。 i)いずれの変異体も,出現率はほぼ線巌に比例する。 ii)稔性変異体の出現率は,減数分裂期を境にその前後で10倍近い差を示すが,稔性以外の形質に関する変異体については,発育段階による違いは認め難い。 iii)変異のスペクトラムと,発育段階または照射当代に生じた障害の種類との間には,特定の関係は認められない。 4.低線最照射によって生じた出芽の異常,ならびに照射次代における変異体の出現に関して考察し,さらに育種学的立場から実験結果の検討を行なった。

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