育種学雑誌
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水稲, 大豆および蚕における遺伝力の推定値 : 第III報大豆について
堀江 正樹斎尾 乾二郎畑村 又好伊藤 綾子
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1965 年 15 巻 1 号 p. 30-42

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抄録

第1報の目的および考え方にしたがい,第2報水稲にひきつづいて,ここでは大豆をとりあげ,1955年より'60年のあいだの5ケ年('57年は材料の都合により欠)にわたって試験をおこたった。この間に試験にもちいられた組合せ(1~5組合せ),形質(6~12形質),試験場所(2~4ケ所)および推定方法(1~6方法)は年次によって異っている。結果として,1959年度の平均値,分散および変異係数と,5年間にわたりそれぞれの推定方法によってえられた遺伝力の値を表にしてあげ,とくに注意すべき点を指摘した。すなわち,遺伝力については水稲の場合と同様に少くともこの程度の試験では,全般にわたって一定した傾向を捉えることは難しい。しかし,大体いえることは,発育形質はかなり大きな値を示し,収量形質は小さく,形態形質は概してその中間にあるようである。推定方法については,h2v(F3)やh2B(p)はかなり大きな値を示すが,h2v(F4)やh2<RS>(2t,3p)は小さい値を示している。また,h2B(F1),hN2(f)やh3Aは比較的変動の大きい推定方法といえそうるである。結論についての詳しい論議は水稲およびおよび蚕の結果と併せてのちにおこなう。

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