1965 年 15 巻 1 号 p. 43-46
藤坂5号より放射線によって誘発された5つの晩生突然変異系統について,出穂期変異に関与する遺伝子構成を分析した。原品種との交雑ならびに変異系統間の相互交雑のF2について出穂期の分離をみた。またFM5×FM3とFM5×FM2の2組合せについては長日条件下でのF3の分離が調べられた。その結果からFM5とFM6とはそれぞれ遺伝子座の一異なる1つの主遺伝子の劣性突然変異によって,原品種よりも感光性が大きくたり,そのために自然目長下でもかなりの晩生化がもたらされたものと推定された。他の変異系統については表現力の小さいいくつかの遺伝子が関与しているらしいが,その遺伝子構成を明らかにすることはできなかった。またいづれの変異系統にも主遺伝子のほかにポリジーンが関与Lているものと思われた。