育種学雑誌
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Mentha spicata L. のゲノム分析 : ハツカ属のゲノム分析 第2報
池田 長守宇渡 清六
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1966 年 16 巻 2 号 p. 96-106

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抄録
1.Mentha spicata のゲノム分析を行なって,2n=24の系統はRRなるゲノム式を持ち,2n=48の系統中には,RRSSなるゲノム構成の系統と,RRScScなるゲノム構成の系統とのあることを明らかにした。ただしSとScとは部分相同ゲノムである。2.M. spicata の種内におけるゲノム構成の相違は,BRIQUET(1897)が Silvestres 列の中で種を分つ目安とした毛の有無と関係ななく,また彼がそのために特別の亜種を設けた縮葉性とも無関係であることがわかった。3.3倍体雑種RRSおよびRRScの減数分裂の際に3価染色体が観察されるので,S,Scゲノムは,Rゲノムと無関係でなく,その間に接合し得るいくつかの染色体があり,R→Sc→Sの方向に進化の道をたどったものと推定した。その考えにもとづいて,spicatae節内の種間,変種間の類縁関係と進化の経路とを想定した。
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