育種学雑誌
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16 巻, 2 号
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  • 西山 市三, 稲森 幸雄
    1966 年16 巻2 号 p. 73-76
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1)エンバク属植物の種子休眠に関する調査を目的として,黄熟種子および完熟種子の収穫当日から15日目ごとに105日まで,とくにA.fatuaでは120日目まで発芽試験を試みた。2)供試材料は二倍種4種とその人為四倍体1品種,四倍種2種4品種とその人為四倍体1品種,六倍種4種11品種である。
  • 片山 平, 永松 土巳
    1966 年16 巻2 号 p. 77-82
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    イネ,コムギ,ダイズ,ナタネを材料として,種々の含水量を含む休眠種子にX線,^^60Coγ線を照射し,種子含水量と放射線感受性との関係をしらべた。結果は第5図にまとめられたように,本実験の範囲では,種子含水量12~18%(ナタネでは5~8%)の範囲において放射線感受性が低く,含水量がこれより少くても多くても感受性は高いことが認められた。この傾向は,従来得られた結果とよく一致することを示すものである。
  • 杉山 信太郎, 広間 勝已
    1966 年16 巻2 号 p. 83-86
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    ダイズシストセンチュウに対する抵抗性のきわめて強い品種Pekingにネマシラズとシロメユタカを相反交雑し,そのF2集団について抵抗性の分離を観察した。低抗性個体の頻度はPeking×ネマシラズで133/524,Peking×シロメユタカで10/238で,それぞれ1/4と1/16に近く,前者では1因子,後者では2因子に近い劣性遺伝子の関与が推定された。抵抗性と大豆の毛茸色および種皮色との関係をみると,毛茸色には関係なく,種皮色との関係がみられた。Peking×ネマシラズで黒色または褐色の種皮をもつ発色型の抵抗性発現率はきわめて高く,他方黄色を地色とする黄色型での発現率は低いので,これらの発色を支配する種皮色抑制遺伝子Iiと抵抗性との間に相引的な連鎖の存在することが推定される。Peking×シロゴメユタカでも抵抗性の発現率は発色型の方が黄色型より高く,同様の連鎖が推定される。Pekingの有する抵抗性の劣性補足遺伝子rhg1,rhg2,rhg3(CALDWELL et al. 1960)のうちネマシラズとシロメユタカに欠け,かつIiに連鎖する遺伝子を “rhg1”とすべきであろう。
  • 清沢 茂久
    1966 年16 巻2 号 p. 87-95
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    中国稲の茘支江と日本稲の関山2号との交雑のF2とF3を用いて,いもち病抵抗性遺伝子と他の2,3の形質を支配する遺伝子との連鎖関係を研究した。茘支江はいもち病抵抗性優性遺伝子(Pi-k),内外頴着色優性遺伝子糯性劣性遺伝子と黄色芽生を生ずる劣性遺伝子を持つ。関山2号はいもち病抵抗性優性遺伝子(Pi-i),内外頴着色優性遺伝子(茘支江のそれとは別で補足的に作用する),黄色芽生を生ずる劣性遺伝子(茘支江中のものとは別で補足的に作用する)をもつ。これらの遺伝子の中,茘支江の糯性遺伝子と内外頴着色遺伝子の間に26.9%の交叉価がえられ,その他の遺伝子間には連鎖関係は認められなかった。
  • 池田 長守, 宇渡 清六
    1966 年16 巻2 号 p. 96-106
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.Mentha spicata のゲノム分析を行なって,2n=24の系統はRRなるゲノム式を持ち,2n=48の系統中には,RRSSなるゲノム構成の系統と,RRScScなるゲノム構成の系統とのあることを明らかにした。ただしSとScとは部分相同ゲノムである。2.M. spicata の種内におけるゲノム構成の相違は,BRIQUET(1897)が Silvestres 列の中で種を分つ目安とした毛の有無と関係ななく,また彼がそのために特別の亜種を設けた縮葉性とも無関係であることがわかった。3.3倍体雑種RRSおよびRRScの減数分裂の際に3価染色体が観察されるので,S,Scゲノムは,Rゲノムと無関係でなく,その間に接合し得るいくつかの染色体があり,R→Sc→Sの方向に進化の道をたどったものと推定した。その考えにもとづいて,spicatae節内の種間,変種間の類縁関係と進化の経路とを想定した。
  • 赤藤 克已, 安室 喜正, 鈴木 忠, 田辺 潔, 西岡 幹弘
    1966 年16 巻2 号 p. 107-112
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.水稲品種秀峰およびBR-No.1 の乾燥種子にγ線(^^60Co)15KRを照射し,その後代X5系統を用いて葉イモチ病抵抗性変異の誘起効果をしらべるとともに,えられた変異からイモチ病菌 race N-1,および C-1に対するイモチ病抵抗性の遺伝子分析を試みた。2.両品種の照射系統群はともに抵抗性への変異は認められず,いずれも罹病性の方向への変異のみであった。またX1穂稔性による変異の誘起率には明らかな差異は認められなかった。3.秀峰はS型病斑,BR-No.1はR型病斑を発現するが,秀峰から生じた変異はS型の病斑数の量的変異のみで,R型への変異は認められず,逆にBR-No.1から生じた変異はR型からS型へのmajor gene 的変異のみでR型の病斑数の量的変異は認められず,両品種の変異の様相は著しく異なっている。4.BR-No.1のrace N-1に対するR型病斑を発現する抵抗性は1個の遺伝子が関与しているものと推察され,race C-1に対する抵抗性はBR-No.1の両親である秀峰および北真旭に由来する遺伝子の同時的効果あるいは補足作用によって発現されるものと推察される。5.秀峰はS型病斑を発現するが,圃場抵抗性をもつ実用的に極めて安定な抵抗性品種であるので,この品種のもつ抵抗性遺伝子の構成に関して若干の考察を行なった。
  • 川口 数美
    1966 年16 巻2 号 p. 113-120
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    環境の異なるところで継続栽培された雑種集団はその集団内の遺伝子構成が異なってくることが知られ,この変化の機構について個体淘汰のほかに配偶体(花粉)淘汰も関係するのではないかと考え,本研究を行なった。遺伝子およびその遺伝様式既知のオオムギ6品種を材料として,5組合せのF1をつくり,これらF1の開花直前の穂を温湯処理(36~39℃,4分)して,そのF2世代の語形質の分離を,同一個体の自然受粉の場合のそれと比較した。取扱った形質は頴色(遺伝子,B,b),叢性・芒型(K,k),側列頴花の有無(Vt,vt),側列頴花の芒の有無(V,v),および葉鞘毛茸の有無(Hs,hs)の6形質であり,後者の4形質については無処理と処理区のいずれも理論分離比に適合し,花粉淘汰の効果は認められなかった(Table2,3-a,-b,-c,4,5および6)。
  • 山口 俊彦, 中島 哲夫
    1966 年16 巻2 号 p. 121-126
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    継代培養中に培養組織の性質が変ってしまうことは,組織の色,形態,形態形成能力,生長速度,養分要求などについて,すでに報告されているが,このような培養組織におこる変異は,組織培養法を利用する場合に著しく障害となる点の一つであると考えられる。本報告は,そのような観点からニンジンの培養組織にみられる形態形成能力の変異について,検討したものである。すでに,1・2の研究者によって報告されているように,継代培養をくり返えすと,培養組織の個体形成能力(芽や根を分化して個体に発育する能力)が低下し,ついにはその能力を全く失ってしまうことを,本実験でも明らかにすることができた。一方,そのような変異の速度は培養組織の系統によって著しく異っていることがみられたので,さらに,その点を追究してみた。その結果,ニソジンの培養組織においては,培養組織の起原となったニソジンの個体によって,個体形成能力に明らかな差のあることが確認できた。したがって,ニンジンでは,培養組織の起原となった個体の遺伝的な形態形成能力と,継代培養中に起こる変異とが組合わさって,著しい相異を培養組織の系統間に生じているものと考えられた。
  • 斎藤 清
    1966 年16 巻2 号 p. 127-132
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.半耐冬性で春植夏秋咲となる宿根性の花卉ジンジャーの最近品種は小山実一氏らの交雑育種によってほとんど更新されたものぱかりであるが,それら36品種を供試して染色体数の調査,稔実性・花容・草状などの観察をおこなった。2.体細胞染色体数については,24品種が2n=34の二倍体で最も数が多く,6品種が2n=51の三倍体,残りの6品種が2n=68の四倍体であることが観察された。3.標準品種Cariumを含む二倍体系統は一般に花形大きく芳香に富み観賞価値の高いものが多いが,自家不和合性が強くてほとんど結実しない。これに反して肉色縮砂などの四倍体系統は花形小さく芳香に乏しいが長い花穂を生じ,しばしば紅色の種子をつけるので実成り種とよんで切花材料に利用される。4.Butterflyその他の三倍体系統は前二者の交雑によって生じた後成型であると思われ,その形質も大よそ両者の中間型を示している。
  • 藤原 弘俊
    1966 年16 巻2 号 p. 133-137
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1590-’51年タキイ長岡農場で栽植されたパンジーViola Wittrockiana Gams. 10個体の体細胞染色体を観察したところ,その中3個体は2n=55,3個体は2n=52,その他の4個体はそれぞれ54,51,50,49の・体細胞染色体をもっていた。なおその中の若干個体においては減数分裂の異常が種々観察された。
  • 斎尾 乾二郎
    1966 年16 巻2 号 p. 138-140
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    各生物個体測定値の環境効果に従属性のある場合には,個体単位のそれの分散をEとしたとき,n個体平均値の分散は E/n にはならない。H.F.SMITH(1938)は経験的に E/nb(0<__-b<__1)となるとしたが,従属性を直接表現する概念相関とこのbとの関係をあきらかにし,H.F.SMITHの仮定の妥当性あるいは妥当性の限界を示した。また2形質あるいはそれ以上の形質が測定してある場合の共分散についても分散におけることと同様のことを考察し共分散においても分散と同じことがいえることを証明した。
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