育種学雑誌
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ダイアレル分析による稲の品種内分化の解析
志村 英二
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1967 年 17 巻 3 号 p. 157-164

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抄録

稲品種“台中65号”の7つの地方系統を用いて、系統間差異の程度と分化の方向を検討した。収最・粒重・桿長・穂長・生育日数について調査を行ない、ダイアレル分析法(JlNKS;1954,HAYMAN 1954,1958)によって解析した。穂長以外の形質では、系統間の遺伝的変異が認められた。これらの変異は相加的であって、エピスタシスが認められたのは粒重だけであった。収量と穂数では、核と細胞質の交互作用が系統間変異を拡大することが想像された。収量と粒重では、優性遺伝子の作用が、ほぼ一定方向であった。これらの形質では、原品種が比較的多く劣性遺伝子を持っていたと推察された。また、日本での栽培期間の長い系統ほど優性遺伝子を多く持っていた。これらのことから、分化は優性遺伝子を集積する方向にあったと推察された。桿長では優性遺伝子の作用は一定方向でなく、分化の方向も任意であった。生育日数では、一つの系統をのぞいて系統間に差がなかった。

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