育種学雑誌
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異条件下における異数性燕麦の稔性
西山 市三/H.L. Shands
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1969 年 19 巻 3 号 p. 117-120

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抄録
燕麦品種カノータの正常および異数性植物(2n=40~42)を、1965年9月から翌年5月まで温度19.4℃に調節された温室で栽培し(幼苗期を除いて)、(1)3月2日以前、(2)それから3月30日まで、さらに(3)5月12日までの3期間に成熟した穂について種子稔生を調査した。初めの2回の調査では異数性植物は完全不稔か、またはごく低い稔性を示したが、3回目には稔性はかなり向上した。それでも夏期の圃場栽培のものにくらべると明らかに稔性はおとっていた。正常植物(2n=42)の稔性はいつも異数性植物ほど低下しなかった。この事実は異数性植物は正常植物よりも低温抵抗性が弱いことを裏がきするものである。第3期に異数性植物の稔性が向上したことは不良環境が改善されたためであろう。恐らく日光の照射量が増強して1時的にも室温、植物体温などがあがるなど諸微細要件が補足されてきたためと想像される。
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