抄録
トウモロコシの雌穂および雄穂形質の遺伝的解析がグラフ法および分散成分法によって行なわれた。5つの異なるレースからみちびかれた6品種と、それらの間の可能なすべてのF1交配とが用いられた。雌穂径、雌穂柄長、一次側枝数および側枝を出している部分の長さなどの形質では優性効果がみとめられた。雌穂長は超優性の支配をうけていた。補足因子型の非対立遺伝子交互作用が雌穂長、一次側枝数をのぞくすべての形質の表現を支配していることがわかった。すべての調査形質で対立遺伝子の頻度が等しくなく、優性因子の方が頻度が高いことがわかった。1形質をのぞくすべての形質で優性因子は大きい(又は長い)ほうの表現を支配していたが、例外の形質、側枝を出している部分の長さでは長いほうの表現を劣性因子が支配していた。Wr、Vaグラフによる解析の結果、親はほとんどの形質を支配する遺伝子についてかなり同型接合的であることが明らかとなった。これらの品種は限られた集団内での兄妹交配によって維持されて来たので、その期間内にかなりの程度まで同型接合性を得るに至ったと解釈された。