抄録
本実験は葯培養により半数体を形成させる場合、花粉間に競合が存在するかいないかを明らかにするためにおこなった。Nicotiana tabacum cv : Hicks 2およびN.plumbaginifoliaからのWs(pbg)遺伝子を有するN.tabacum間のF1雑種の葯培養により生じた植物体について、緑色タバコとアルビノの出現比を期待値(3緑色 : 1アルビノ)と比較した。この比較は、(1)最大葉の葉長が約2mmに達したとき、(2)最大葉の葉長が約5mmに達したとき、(3)最大葉の葉長が20~50mmに達したとき、ならびに(4)アルビノが脱分化し、アルビノ由来カルスより二次的にアルビノが分化したときにおこなった。(1)-(3)では、観測値と期待値とは一致したが、(4)では両者間のずれは大であった。このずれは、アルビノが脱分化したことによる。したがって、培養中脱分化が起らない限り、本実験での葉の色については、花粉間に競合が見られないことが判明した。