育種学雑誌
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ナスの未受精胚珠、およびトウモロコシの子房培養
内宮 博文亀谷 寿昭高橋 成人
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1971 年 21 巻 5 号 p. 247-250

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抄録

近年、高等植物における半数体作成の手段として、花粉培養の有効性が実証されつつある。一方、人為的な半数体の作成は、雌性配偶子側の培養によっても期待できるはずである。しかし、これまで、TULECKE(1964)がイチョウで成功した例はあるが、被子植物ではまだ知られていないようである。著者らは、ナスの未受精胚珠とトウモロコシの受粉しない子房を用いて半数体作成の可能性を検討し、次の様な結果を得た。すなわち、トウモロコシでは2,4-D(3ppm)を添加したMURASHIGE and SK00G(1962)の基本培地でカスま形成率良く、2倍体ではあったが、根の分化をみた。ルた、カルスには半数性細胞も観察された。ナスでは、胚珠のみを単離して培養すると、珠皮は褐変し、カルス化はみられなかった。しかし、このとき、ココナットミルクは胚珠の発達に有効なように思われる。さらに、胎座などの母親組織をつけた場合には、胚珠のカルス化がすすみ、しかも、半数性細胞の分裂が確かめられた。したがって、被子植物においても、雌性組織由来の半数体を育成できるものと期待される。

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