育種学雑誌
Online ISSN : 2185-291X
Print ISSN : 0536-3683
ISSN-L : 0536-3683
ツバキ属植物における細胞遺伝学的研究 : II.チャとワビスケの核型分析
加藤 美知代志村 喬
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 21 巻 5 号 p. 265-268

詳細
抄録

ワピスケがチャとツバキの雑種かどうかを調べるため、ワピスケとチャの核型を分析した。チャの核型は2n=18V+8J+4Jtであらわすことができ、2対の付随体をもつ染色体と1対の二次のくびれをもつ染色体とが観察された。ワピスケでは、コチョウシロワピスケが2n=16V+10J+J1+J2+2Jtで、二次のくびれをもつ非相同の染色体が2本みられ、また付随体をもつ染色体が1対あった。そしてウスワピスケでは、二次のくびれをもつ染色体で非相同の染色体は見られず、1対の染色体は付随体をもち、コチョウシロワピスケでみられたものと同形であった。ツバキ、チャおよびワピスケの核型を比較すると、付随体をもつ染色体では、チャとワピスケに同じ形のものがあり、ツバキとチャにも同じ形のものがあった。二次のくびれをもつ染色体では、ツバキ、チャおよびワピスケともに共通の同じ形のものがあった。これらの結果から、ワピスケの核型は、チャとツバキの両方に関係があることが明らかになった。さらに、前報のワピスケでみられた成熟分裂や配偶子形成の異常は非相同の染色体によるものと考えられる。

著者関連情報
© 日本育種学会
前の記事 次の記事
feedback
Top