育種学雑誌
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Nicotiana tabacumとN. sylvestris間の不稔の種間雑種における葯培養
高橋 秀二郎
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1973 年 23 巻 5 号 p. 250-254

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抄録
種間交雑によって得られたF1植物には、不稔になるものが多い。これら不稔のF1植物の葯を培養し、花粉から発生した植物の中から必要な個体を選抜し、染色体数を倍加したならば、これまで不稔のため不可能であった植物の育種が可能になるものと想われる。本実験ではNicotiana tabacum(n=24)とN. sylvestris(n=12)間の不稔のF1植物を材料として用い、葯培養により種々の形質組成の植物を発生させることを試みた。その結果3.4%の葯から植物が発生した。発生した植物の48.5%は葉緑素をほとんど含まず、培地から移植すると枯死してしまった。29本の植物を生長させ、根端おしつぶし法により染色体数を調べた。染色体数36の植物が10本、28~34の植物が8本あったが、残りの11本の植物は同一根端中でも各細胞が異なった染色体数を有していたため、植物体としての染色体数を決定出来なかった。生長した植物中には、葉形、花色、花形等に新しい種々の形質組成を示した植物が数本見られた。しかし、これら29本の植物の染色体数が花粉から発生した植物に期待される染色体数(12~24)より多いことから、これらの植物はタぺート組織から発生したものと推定される。
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