育種学雑誌
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23 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山口 彦之, 多々良 敦
    1973 年23 巻5 号 p. 221-230
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    低線量のガンマ線照射による生長抑制の原因を細胞学的に明らかにしようとした。発芽初期の種子に1,800Rまでのガンマ線を照射し、浸漬後22時間の第1葉部間分裂組織内の細胞分裂指数と、10日目の第1葉の長さとを調査した。両者間には高い相関々係が認められた。したがって、照射による芽生第1葉の生長阻害は主にその分裂組織内における分裂細胞数によると考えられた。つぎに、細胞分裂指数の減少と染色体異常の発現に関して、細胞サイクルにおける放射線感受性を調べた。種子浸漬開始から第1葉の部間分裂組織に細胞分裂像が現われるまでのいろいろな時期にX線125Rを照射して、種子浸漬後24時間目で細胞分裂指数と染色体異常の頻度を調べた。細胞分裂後期の染色体異常頻度は、G1末期やS~G2初期の照射で増加し、細胞分裂指数はG1初期やG1中期照射で減少したことから、放射線照射による染色体異常の誘発と細胞分裂障害とは別の機構によると推定された。放射線による細胞分裂障害を360R~1,800Rのガンマ線照射で解析した。S末期~G2期の照射では、360R~780Rの範囲で線量の増加とともに細胞の分裂期への進行が阻害された。またS期やG2期に1,800Rを照射すると細胞死がおこると考えられた。つぎに、種子浸漬後14時間目に180R~780Rのガンマ線を照射し、その後1時間ごとに第1葉を固定して、その部聞分裂組織における細胞分裂指数を調べた。S末期~G2初期に180R以上を照射すると前期から中期への細胞分裂の進行が阻害されること、またS初期~S中期に360R以上を照射するとG2期で進行が阻止されるが、約2時間ののちに回復して進行を再開することが明らかにされた。以上の結果、低線量照射による第1葉の生長阻害は、細胞分裂開始の直前のG2期で細胞分裂サイクルの進行が一時的に阻止されて、分裂組織内の細胞分裂指数が減少し、細胞数の増殖が遅れるためであって、放射線照射によって分裂組織細胞内に染色体異常が生じたためではないと推論された。
  • 中田 猛, 戸田 正行
    1973 年23 巻5 号 p. 231-238
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Various abnormal chromosome pairings especially tetravalent, were observed in most of the selected short-culm strains in R4 and R5. The tetravalent was responsible for variation of agronomic characteristics, resulting in short culm. It was presumed that this fact was the reason why most of the individuals with the tetravalent coud compete with the normal individuals (21 II) on the occasion of selection in this breeding. The reconstruction of chromosome structure by reciprocal translocations was considered to be efficient as a breeding method in bread wheat.
  • 清沢 茂久, 趙 正翼
    1973 年23 巻5 号 p. 239-244
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    イネ品種のいもち病に対する抵抗性の遺伝子型の同定のために使用されているいもち病菌の7菌系の胞子形成力と病原力に関して比較した。そのうち、胞子形成力については前報に報告した(第1表に略述)。ここでは病原力に関する調査結果を示す(第2、3表)と共に、病斑長(第4、5表)や病斑の生長速度(第6、7表)について調べた結果を示し、それらの間や、過去10年間に行なった多数の実験結果(既報)からえた病原力や、オオムギ穀粒培地(以下オオムギ培地と略称)やオートミール煎汁しょ糖寒天培地(オートミール培地)上での胞子形成力の平均値との関係を見た。本研究で調べた病原力(b+10bg+30bG+40pG で表現、ここでb、bg、bG、pG はそれぞれの型の病斑数)、病斑長、病斑の生長速度のうち、病斑の生長速度にのみ有意な菌系間差異が見られた。それぞれの形質の間の相関係数を計算したところ、宿主上の胞子形成量は、オートミール培地上の胞子形成量と負の、10年間の病原力の平均値とは正の相関をえ、オオムギ培地上での胞子形成力との間には明瞭な相関は認められなかった。この研究でえられた病原力と、10年間の研究の平均値としてえられた病原力との間の相関係数は平均+0.584で必ずしも高くなかった。また、10年間の研究からえた病原力は、7菌系の病原力を示す値として最も信頼しうると考えられるが、これと最も相関の高い調査形質は、病斑の生長速度で、宿主上の胞子形成量と病原力がこれについだ。病斑の長さとの間にはほとんど相関は認められなかった。病原力は環境変異のきわめて大きな形質で、数回の実験でも有意な菌系間差異はえられなかったが、宿主上での胞子形成量は、それよりも安定した形質で、単一の実験では胞子形成量の方が、調査のために、より多くの労力を要するが、信頼できる結果がえられる。
  • 池田 道正, 鈴木 和彦, 佐々 武史, 三浦 勇吉, 青葉 高
    1973 年23 巻5 号 p. 245-249
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    The seeds of 80 strains belonging to five species of Brassiceae carrying A, B, C, AB and AC genomes were examined as to the chromatographic pattern of thiourea derivatives prepared from seed mustard glucoside. A specially pretreated silica gel thin-layer was used. The strains belongings to a species which have a certain genomic constitution gave a characteristic chromatogram.
  • 高橋 秀二郎
    1973 年23 巻5 号 p. 250-254
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    種間交雑によって得られたF1植物には、不稔になるものが多い。これら不稔のF1植物の葯を培養し、花粉から発生した植物の中から必要な個体を選抜し、染色体数を倍加したならば、これまで不稔のため不可能であった植物の育種が可能になるものと想われる。本実験ではNicotiana tabacum(n=24)とN. sylvestris(n=12)間の不稔のF1植物を材料として用い、葯培養により種々の形質組成の植物を発生させることを試みた。その結果3.4%の葯から植物が発生した。発生した植物の48.5%は葉緑素をほとんど含まず、培地から移植すると枯死してしまった。29本の植物を生長させ、根端おしつぶし法により染色体数を調べた。染色体数36の植物が10本、28~34の植物が8本あったが、残りの11本の植物は同一根端中でも各細胞が異なった染色体数を有していたため、植物体としての染色体数を決定出来なかった。生長した植物中には、葉形、花色、花形等に新しい種々の形質組成を示した植物が数本見られた。しかし、これら29本の植物の染色体数が花粉から発生した植物に期待される染色体数(12~24)より多いことから、これらの植物はタぺート組織から発生したものと推定される。
  • 藤巻 宏, 清沢 茂久
    1973 年23 巻5 号 p. 255-259
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    The fungus strain most suitable for selecting lines of rice with multi-strain resistance was chosen from the seven strains of blast fungus representing typical races in Japan. This choice had been made on the basis of the data obtained from reaction patterns of a number of rice varieties to the seven fungus strains.
  • 熊谷 甲子夫
    1973 年23 巻5 号 p. 260-265
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 新関 宏夫
    1973 年23 巻5 号 p. 265-268
    発行日: 1973/10/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
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