抄録
水稲品種MagnoliaとJhona349をその移植期から収穫期まで連続的に塩処理(濃度4,000ppm)した場合に発'現した不稔性を3つの型に分類した(Akbar et al. 1972)。そのうちの遅発性不稔性についてさらに全穂型と枝梗または小穂型とが区別され,供試2品種は遅発性全穂不稔性について明瞭な品種間差異を示すことが述べられた(Akbar and Yabuno,1975)。塩処理によってMagnoliaの全供試個体は遅発性全穂不稔性を示したが,Jhona349および両品種間の相反交雑によるF1個体は塩処理条件下でも遅発性全穂不稔性を発現しなかった。F1雑種(Magnolia×Jhona349)にMagnoliaを花粉親として戻し交雑した次代および雑種F2世代における正常個体と遅発性全穂不稔個体の分離・出現頻度からこの型の不稔性についての耐塩性は少数(少くとも3つ)の優性の同義遺伝子によって支配されていることが推定され,Jhona349は耐塩性イネ品種育成の素材となりうることが示された。