強×弱の2組合せ(Sorghum-sudangrass雑種)および強X強の2組合せ(Sorghum-sorghum)について,両親F
1,F
2,また強×弱の1組合せでは戻交配(BC
1,BC
2)を供試して(Table1・参照),草地試験場の圃場で1973年夏期にソルガムすす紋病抵抗性の遺伝様式を検討した。1973年は平年と比較して著しく降水量が少なく,またやや低温であり,すす紋病試験には不適であった。しかし,井沢,樽本(1973)の検定法を一部改良した圃場検定法を用いることにより,高温,多湿条件下における試験結果(樽本・井沢1975)と同程度の罹病度および罹病葉率を得た(Table1・Fig.1)。強×弱および強×強の組合せのF
1はすべて罹病度0.5以下の抵抗性であった。強×強のF
2では分離がみられず,抵抗性であった。強X弱のF
2では分離がみられ,罹病度1.0以下の個体を抵抗性とする場合の(低抗性:感受性=3:1)の仮説を良く満たし,605A×Sweet SudanのF
2でX
2=2.689(P≒0.10),390A×GreenleafのF
2でX
2=0,002(P>0.90)であった。抵抗性親への戻交配BC
1では大部分の個体(92.3%)が罹病度1.0以下の抵抗性を示した。一方,罹病性親への戻交配BC
2では罹病度1.78を中央値とする正規分布が示され,17.8%の個体だけが抵抗性であった。またBC
2では(抵抗性:感受性=1:1)の仮説は満されなかった(X
2=37.378,P<0.005)。これはBC
2の75%の遺伝子は罹病性親Sweet Sudanに由来していることによる圃場抵抗性の劣化によるものと考察される(Fig.1)。上記のように特にBC
2で一部適合したいけれども,F
1,F
2およびBC
1の結果から,ソルガム雑種のすす紋病抵抗性は,抵抗性が優性の1主働遺伝子により本質的には支配されると考えられる。
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