育種学雑誌
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ヘマトキシリン染色によるコムギのアルミニウム耐性検定法の評価
高木 洋子生井 兵治村上 寛一
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1981 年 31 巻 2 号 p. 152-160

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抄録
コムギのアルミニウム耐性の早期検定法として,POLLEら(1978)がヘマトキシリン染色法を開発した。この方法の精度を耐性既知の品種を用いて追試し,さらにこれまでアルミニウム耐性や耐酸性が調べられていた日本の品種について,ヘマトキシリン染色法を適用し,メキシコ・ブラジル産品種とその耐性程度を比較した。その結果,ヘマトキシリン染色法は,従来から早期検定法として使われてきた水耕法に匹敵する精度を示し,そのうえ操作が簡便で発芽4日後に検定ができる,多数個体が同時に扱える,検定後の植物が利用できるたど長所があり,コムギ育種の早期簡易検定法として極めて有効であることを確めた。また,供試した日本の品種にはアルミニウム耐性が極強の品種(ヘマトキシリン染色法の評価,1)はなかったが,ヒラキ小麦,農林54号などの4品種はブラジルの耐性品種(評価,3)に匹敵するものであることを明らかにした。
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