抄録
インド型イネ品種“Karalath",“Chamock"および“Dalashaita"を日本型イネの検定用系統およびインド型イネの“Surjamukhi"と交雑し,花青素の基本着色遺伝子に関する遺伝分析を行った。これまでのC一A一P遺伝子体系をそのまま適用した限りでは,上記の交雑F2集団において,両親の着色型から期待される正常分離を示す場合の外に期待外の着色型あるいは分離比を示す場合があった。そこで遺伝機構を説蔓月するために,CおよびP座に新しい対立遺伝子を仮定した。すなわち“Karalath"からはC脱,PKを,“Charnock"からはCBc,Pcを,そして“Da1ashaita"からはCBKおよびPKたる対立遺伝子を想定した。これらの対立遺伝子と従来の対立遺伝子との優劣関係は次のとおりである。[numerical formula]なお,分布遺伝子PKはPよりも〓先への分布能カが劣り,PCはPKよりも更に分布能力が低い。上述の遺候子仮説に基づくなら,本実験で供試したほとんどの組合せについて,そのF2分離を統一的に説明できる。またF3検定を行った5交雑組合せの内では3組合せでこの遺伝子仮説が支持された。残りの2組合せではF3系統比に関し適合度が必ずしも高くはなかったが,F3系統内での分離そのものは期待される分離であった。