育種学雑誌
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甘藷の受精と胚発生
国分 禎二村田 達郎遠藤 文夫
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1982 年 32 巻 3 号 p. 239-246

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抄録
甘藷の交雑育種において一般に認められる低稔実性の原因を明らかにするため,先ず最初に,相互に交雑和合な2系統間の交雑(千系682-11×九州58号)を行ない,授粉後一定時間ごとの正常な受精及び胚発生過程を観察した。授粉4時問後には花粉管は珠孔を通過して助細胞の一つに侵入している。授粉6~9時問後に重複受精が行なわれ,接合体と胚乳核が形成される。授粉10時間後に胚乳核が,又,授粉14時間後に接合体がそれぞれ第1回の分裂を行なう。 授粉24時間後には接合体は頂端細胞と基底細胞に分化し,分裂増殖した胚乳核は胚のう周辺部に並び始める。授粉48時間後には頂端細胞と基底細胞はそれぞれ4細胞に分裂して胚と胚柄になり,胚乳核は珠孔側から反足細胞側にわたって散在している。授粉3~7日後に接合体は胚珠と胚柄に分化し,胚乳核は珠孔側から反足細胞側へ向かって細胞膜を形成し始める。授粉10日後に接合体は心臓型となり,胚乳細胞は珠孔側から退化し始める。授粉13~17日後に子葉が急速に伸長し,胚乳細胞は殆んど退化する。
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