抄録
栽培イネの出穂期を支配する主要な遺伝子座Lmに関して異なる対立遺伝子をもつ2つの同質遺伝子系統を播種期を変えて栽培し,自然日長の変化に対するLm対立遺伝子の出穂反応の差異を調べた。Lme/Lme系統の到穂日数(播種から出穂まで日数)は播種期が変わってもほぼ一定で,早生遺伝子Lmeは自然日長の変化に反応しなかった。一方,Lmu/Lmu系統では,播種時期によって到穂日数の変化が著しく,晩生遺伝子Lmuの作用は明らかに自然日長の変化に依存していた。すなわち,7月下旬から翌年3月中旬にかけて播種したとき,Lmu/Lmuが系統は9時間30分から13時間30分までの日長に感応し,非常に短い生育期問で出穂Lたが,3月下旬から7月中旬までの播種では,14時間30分から13時間30分に減少する日長に感応して幼穂分化を開始するため,この系統の到穂日数は長くなった。Lmu/Lmu系統は,Lme/Lme系統に比べて小さな基本栄養生長相と大きな感光相をもつため,敵日長に遭遇する7月下旬から3月中句までの播種ではLme/Lme系統よりも早く出穂した。その他の時期に播種すると,Lmu遺伝子の敵日長域を越えるため,Lmu/Lmuが系統はLme/Lme系統よりも晩生となり,両系統の早晩性は逆転した。