育種学雑誌
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イネのトビイロウンカ抵抗性遺伝子 Bph1 のトリソミック分析
池田 良一金田 忠吉
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1983 年 33 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

イネのトビイロウンカ抵抗遺伝子Bph1の所属連鎖群を同定するために,九州大学から譲り受けたトリソミック系統にBph1をもつ中間母本系統関東PL1または関東PL4を交配した。得られたF1株の花粉母細胞減数分裂の第一分裂中期における分裂像を検鏡してトリソミックと確認後,袋かけして異花粉の混入を防ぎ、各F1株ごとに採種した。F2集団の各個体については,検鏡観察によるダインミックとトリソミックの2群に分けることなく一括してトビイロウンカ抵抗性検定に供試した。抵抗性の検定は,バイオタイプI(野生型)のウンカを用い,集団幼苗検定法によった。 Bph1 は,岩田・大村(1975,76)によるトリソミックA,C,GおよびH型の4系統との交配組合せの F2ではいずれも3:1の比に適合し,ダインミックの分離を示したが,E型系統との交配組合せでは3:1の比に適合せずトリソミックの分離を示した。したがって,Bph1はE型系統の過剰染色体である第11染色体に座乗するものと推定された。第11染色体に対応するのは第II連鎖群である。 筆者らは,1973年以来標識遺f公子利用によるBph1またはbph2の連鎖分析を実施してきたが、11の、連鎖群(第IX連鎖群は未検定)に所属する25の標識遺伝子とはいずれも独立の関係にあった。第II連鎖群に関してもlgおよびd-11とBph1とは独立と推定されている.しかし,ここでトリソミック分析の結果を踏まえて再度bph2(Bph1と密接連鎖か複対立の関係)と第II連鎖群所属の3遺伝子との連鎖について分析したところ,bph2はlgやPl-1とは独立と推定されたもののかd-2とは組換価39.4%で連鎖していると推定された。

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