育種学雑誌
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イネ品種 IR 1905-81-3-1 のいもち病抵抗性の遺伝
清沢 茂久照井 義宣凌 忠専許 文会
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1983 年 33 巻 1 号 p. 31-39

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抄録

IRRIのイネ品種IR1905-81-3-1を共通の低抗性親とする3つの交配組合せについて、F3世代でいもち病菌の2つのフィリピン菌系と1つの日本菌系を用いて抵抗性の分離を観察した。第1の組合せ,IR1905-81-3-1×IR32はフィリピン菌糸Ph80-50に対してはIR1905-81-3-1の中に1つの主働遺伝子と1つの徴働遺伝子を,IR32の中に1つの徴働遺伝子の存在を仮定することにより説明された。 第2の組合せIR1905-81-3-1×IR2071-586-5-6-3では同じくPh80-50に対してIR1905-81-3-1中の2つの微働遺伝子,IR2071-586-5-6-3中の1つの徴働遺伝子によって説明された。 また第3の組合せIR1905-81-3-1×IR36のPh80-50に対する分離についてはIR36中にIR1905-81-3-1中の抵抗性遺伝子を抑制する抑制遺伝子も考えたい限り説明できたかった。むしろ親として用いたIR36が交配に用いたものと違うものと考えられた。 第1の組合せは第2のフィリピン菌糸Ph80-64に対して第1の菌糸の場合とは全然異なる分離を示し,3つの補足遺伝子の存在を暗示した。これらの結果から,IR1905-81-3-1は3つ以上の抵抗性遺伝子により.支配され,それらの遺伝子作用の発現は主働遺伝子的な効果から補足的に働らく微働遺伝子的な効果まで使用菌系,環境条件により大きく変るものと考えられた。何れの組合せも日本菌糸研53-33に対しては分離を示さずこれらの品種中にこの菌糸に対して働く共通の遺伝子をもつものと考えられる。

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