育種学雑誌
Online ISSN : 2185-291X
Print ISSN : 0536-3683
ISSN-L : 0536-3683
イネにおける矮性突然変異の形質発現 : III. ふ系71号の節間伸長に対するジベレリン酸(GA3)の影響と内生ジベレリン様物質の存在
北野 英巳蓬原 雄三中田 豊美
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 33 巻 2 号 p. 138-147

詳細
抄録
ふ系71号および原品種フジミノリをガラス室内でポット栽培し,栄養生長期から出穂期にかけてジベレリン噴霧処理を継続的に行い,両系統の節間伸長に対するジベレリンの影響について調査した。その結果,フジミノリではジベレリンによる稈長の伸長促進効果は極めて大きく,顕著な濃度反応が認められたのに対し,ふ系71号では濃度反応は全く認められず、稈長の伸長促進効果もフジミノリに比較して極めて小さいことが明らかとなった。つぎに,栄養生長期と生殖生長期に区分してジベレリン処理を行った結果,フジミノリでは生殖生長期の処理においても稈長の伸長促進効果は大きかったが,ふ系71号ではこの時期のジベレリン処理に対しては,ほとんど反応を示さなかった。さらに,ふ系71号における節間伸長の温度反応(KITAN0 and FUTSUHARA 1981,1982)とジベレリンの処理効果との関連についてファイトトロンを用いて調査を行ったところ、ふ系71号のジベレリンに対する反応性は,高温下(30℃-2℃)では極めて低かったが,低温下(23℃-18℃)では無処理区の節間伸長が促進されるのに伴ってジベレリンに対する反応性も高くなる傾向を示した。栄養生長期からジベレリン処理を開始した個体に関しては,両系統とも顕著な伸長節間数の増加を示した。そこで,これら伸長節間の柔組織(Parenchyma)について顕微鏡観察を行った結果,ジベレリンによって新たに誘起された伸長節間の形質発現についてもふ系71号の矮性遺伝子が作用していることを認めた。一方,各生育時期の茎葉から内生ジベレリン様物質の検出を試み,両系統間でその存在について比較したところ,ふ系71号にはいずれの時期においてもフジミノリと同程度のジベレリン様物質が存在することを確認した。ふ系71号における矮性遺伝子の作用機作とジベレリンの関係を調べることを目的として行った以上の実験結果から,節間に対するふ系71号の矮性遺伝子の伸長抑制作用は,ジベレリン処理によっては変更されないこと,および,ふ系71号の茎葉における内生ジベレリン様物質の欠損も認められないことなどが明らかとなった。したがって,本倭性遺伝子は,ジベレリンの代謝系に対しては直接関与していたいものと推定された。
著者関連情報
© 日本育種学会
前の記事 次の記事
feedback
Top