抄録
くびれ米を発生しない'正常'品種間の交雑後代でくびれ米が発生する原因を明らかにするために,くびれ米を発生しやすい新2号の親組合せである亀の尾1号と改良愛国(いずれもくびれ米を発生しない)の交雑を行い,新2号並にくびれる系統を育成した。くびれ米歩合の高い系統では穎と子房の長さのアンバランスが大きかった。選抜効果から推定したくびれ米歩合の遺伝力はF2→F3でO.67と高かった。亀の尾1号と改良愛国の玄米の長さはほとんど等しいが,F2には顕著な超越分離が認められ,小粒個体でくびれ米歩合が高かった。'正常'品種間のF2 13組合せにおいて、粒大の分離が大きい集団ほどくびれ米が発生しやすい傾向が認められた。穎の長さと子房の長さに遺伝的な組換えが起こり,'正常'品種問の交雑後代においても穎と子房の長さがアンバランスでくびれ米を発生しやすい遺伝子型が現れる。