2017 年 65 巻 7 号 p. 208-215
ソーラーセイルや大型アンテナなど,大面積宇宙構造物においては,軽量で小さく収納して打上げることが可能な展開型薄膜構造の利用が期待されている.しかし,スピンによる遠心力を利用して大型薄膜セイルを展開する技術は,世界でもほとんど実証されていなかった.JAXAでは,遠心力展開技術について長年研究を積み重ねてきた.その成果として,世界初のソーラーセイルである実証機IKAROSにおいて,最重要ミッションの1つである200 m2級のセイルの遠心力展開・展張に成功し,その有効性を実証した.現在,JAXAでは獲得した技術・知見を洗練させ,次世代機として2000 m2級の大型ソーラー電力セイルの軌道上遠心力展開について検討している.本稿では,特にIKAROSの軌道上実証で確認された当初想定していなかった事象と,その解析結果も踏まえてIKAROSセイル展開機構の課題について紹介し,その改良と次世代機に向けた反映状況について報告する.