育種学雑誌
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イネのsugaryおよびshrumken突然変異の遺伝子分析
矢野 昌裕磯野 優子佐藤 光大村 武
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1984 年 34 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

アルキル化合物によって誘発された玄米が扁平になる突然変異sugaryおよびshrmkenと新しく誘発された扁平突然変異について,それらの系統を支配する遺伝子の対立性を明らかにし,座乗染色体を決定した。 原品種金南風と突然変異系統間のF2における分離から,変異系統はいずれも卑劣性の遺伝子によって支配されることが明らかとなった。また変異系統間の相互交配から得られたF1種子の表現型およびF2における分離から,本研究に用いた扁平突然変異系統には3遺伝子座が関与し,そのうちの1遺伝子座は複対立遺伝子を持つことが判明した。したがって,それらの遺伝子をsu,shr-1s,shr-1aおよびshr-2と命名した。 各遺伝子のトリソミック分析を行なったところ,su遺伝子はD型トリソミックとのF2においてトリソミック分離を示し,D型の過剰染色体である染色体12に座乗することが明らかとたった。 shr-1遺伝子は,9種類のトリソミックとのF2では,ダイソミック分離を示した。これまで染色体3,5および8を過剰に持つトリソミックが発見されていたかったことから,染色体3,5および8に座乗する標識遺伝子と8伽一1遺伝子との連鎖分析を行なったところ,8伽一1は染色体3に座乗するrl-2と23.6%の組換価で連鎖することが明らかとなった。したがって,shr-1遺伝子は染色体3に座乗する。

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