育種学雑誌
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S型雄性不稔トウモロコシにおける S1 および S2 DNA をもつ稔性細胞質変異体
石毛 光雄/Burle G. GENGENBACH
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1985 年 35 巻 3 号 p. 285-291

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抄録
トウモロコシでは80以上の雄性不稔誘起細胞質が知られており,これらは検定自殖系統に対する花粉稔性の回復パターンによって,C,T,S型に大別されている.オルガネラDNAの制限酵素分析により,ミトコンドリアDNA(mtDNA)には各細胞質間に明瞭差があることが知られている.一方葉緑体DNA(ctDNA)にはS細胞質におけるわずかの例外を除いてこの差が認められていない.S細胞質は他の細胞質とは異なる特徴をもっており,1)稔性回復は配偶体的で,花粉の遺伝子型によって支配される.2)特定の核の遺伝子型の下で,稔性回復変異体を多く生じる,3)ミトコンドリア内に,208bpの末端反復配列をもったプラスミッド様の2種のS1,S2 DNAをもち,これらのDNAは,タンパク質と結合している、S細胞質において発見された総ての稔性回復変異体はS1,S2 DNAをもたないことが報告されている.DNA-DNA hybridizationの結果から,これらの変異体のS1,S2 DNAはミトコンドリア主ゲノムヘ挿入されたことが確認されている.
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