抄録
早生オオムギ程度の熟期を持つコムギ品種の育成は,育種家の努力にも拘らずなかなか実現しない.本研究はそこに存在する諸問題のうち,出穂成熟に関するコムギとオオムギの生理的な機構の差異を解析した. そのため三つの実験を行った.その一つは,早晩性程度の異なるコムギ及びオオムギ各30品種を倉敷の標準播種期(11月中旬)に戸外に播種し,幼穂分化から成熟までの各時期を調べた.その結果,幼穂分化期(二重稜期:T1)はオオムギが明らかに早かったが,それに続く茎立ち期(T2)では両者の差はほとんど認められなかった.しかし,出穂期(T3),開花期(T4)では再びコムギが遅れ,成熟期(M)では平均10日遅れた.そして出穂期ともっとも密接な関係を示したのはコムギではT1期であったがオオムギではT2期であった.なお,成熟期に関しては,両種ともT3期がもっとも関係が深かった.