育種学雑誌
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ヒエ属雑草種子のアルコール脱水素酵素ザイモグラムおよびその遺伝と嫌気発芽性
山末 祐二谷坂 隆俊草薙 得一
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1990 年 40 巻 1 号 p. 53-61

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抄録
湛水条件下でヒエ属水田雑草種子が発芽するために重要なアルコール脱水素酵素(ADH)の種子多型について京都府および滋賀県の様々な生育地より採種した約200個体のヒエ属水田,畑地雑草を調査した.これらのヒエ属雑草の種子では5つのADHザイモグラム(A3, A1A2A3, A3A4A5, A1A3A5, A1A2A3A4A5)が検出され,個体内変異はなく,種・変種で1つのザイモグラムに集中する傾向があった.すなわち,タイヌビエ(Echinochloa oryzicola,水田雑草)は48中42個体がA1A2A3,ヒメダイヌビエ(E. crus-galli var. formosensis,水田雑草)は19中14個体がA1A2A3A4A5,また,ヒメイヌビエ(E. crus-galli var. praticola,畑地雑草)は60中52個体がA3であった.しかし,水田および畑地に広く分布し,形態的にも著しい変異をもつイヌビエ(E. crus-galli var. crus-galli)はADHザイモグラムにおいても変異が大であった.
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