サツマイモ(2n=6x=90)に近縁な野生二倍体種(2n=2x=30)の分類学的同定は,日本とアメリカの研究者によりそれぞれ異なった見解の下になされてきた.本研究では,京都大学の寺村貞・西山市三や三重大学の塩谷格がIpomoea triloba L.,I.lacunosa L.,I.trifida(H.B.K.)D0N.としてきた系統ならびにジョージア大学のA.JONESがI.triloba.I.triloba CH0ISY,I.lacunosa L., I.cordatotriloba DENN. (syn.I.trichocarpa ELL.)としてきた系統,全部で51系統を同一環境で育てて比較し,多変量分析による再分類を検討した(Table1). 加重変数群法によるクラスタ分析では,葉や茎についての10形質,花序の8形質,花冠の10形質,がく片の6形質,およびさく果と種子についての7形質,計41形質をもちいた.また,これらの41形質からIpomoea種の分類のため選んだ24形質に一つの根部形質を加えた25形質をもちいて,同じ51系統の主成分分析を行なった.