育種学雑誌
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イネ品種ZenithおよびCempo Selakのフィリピン産および日本産イネ白葉枯病菌レースに対する抵抗性の遺伝
小川 紹文山元 剛KHUSH Gurdev S.苗 東花
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1990 年 40 巻 2 号 p. 183-192

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抄録

イネ白葉枯病レースの国際判別品種を設定するため,抵抗性遺伝子を一つずつもつ準同質遺伝子系統の育成が日本農林水産省とIRRI(国際稲研究所)との共同研究として行われた.その準同質遺伝子系統を育成する前提として,日本とIRRIの判別品種をフィリピン産および日本産白葉枯病菌レースを用いて分析する必要があった.そのため,抵抗性母種ZenithとCempo Selakの遺伝を,フィリピン産および日本産白葉枯病レースを用いて分析した.イネ品種Zenithは,IRRIの研究者によって抵抗性遺伝子Xa-6を所有していると報告されている.しかし,日本・IRRI判別品種にはXa-6を持つ品種は含まれていない.現在同定されている金ての抵抗性遺伝子を,準同質遺伝子系統に組み込むためには,Xa-6を持つ系統も育成する必要があった.イネ品種Cempo Selakは最近までIRRIの判別品種に加えられていたが,その所有遺伝子は明らかでなかった.一方,日本産およびフィリピン産白葉枯病菌レースを用いて,この両品種に予備的に接種検定したところ,その反応はXa-3を持つ中国45号やジャワNo.14とよく似ていた.すなわち,ZenithとCempo Selakはフィリピン産の4つのレースおよび日本産のIからIIIのレースに抵抗性を示すと共に病斑の周囲が褐変化した.このことから,Zenith及びCempo Selakと中国45号およびジャワNo.14との抵抗性遺伝子の対立性検定を行うこととした.

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