育種学雑誌
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リョクトウ[Vigna radiata (L.) WILCZEK]の組織培養による植物体再生の品種間差異
/ 蓬原 雄三Yuzo FUTSUHARA
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1990 年 40 巻 4 号 p. 457-467

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抄録

リョクトウにおける組織培養による植物体再分化の条件を明らかにするため種々の外植体および品種を用いて一連の培養実験を行った.その結果,組織培養による植物体再分化が,茎片,茎頂を取り除いた上胚軸および子葉片で達成されたが,葉片からはシュートのみが形成された.各外植片は,植物体再分化にさいしてMSあるいはB5基本培地に含まれるホルモンの要求性を異にした.すなわち,茎片,葉片および茎頂を取り除いた上胚軸片では,シュート形成には0.2mg/lNAAと1-2mg/lのカイネチンあるいは6-BAの添加が適量として認められたが,一方,子葉片では1-2mg/l6-BAあるいは100mg/l酵母抽出物の添加により最も効率的な再分化が得られ,オーキシンの添加は不必要であった. リョクトウ6品種を用いて6種の培地で子葉片からの植物体再分化を比較したところ顕著な品種間差異が認められ,品種×培地の相互作用も有意であった.このことは品種により植物体再分化の条件が異なることを示す.一定のホルモン条件下において,現れるカルスや再分化個体の形態と遺伝子型との間に密接な関連が認められた.また組織培養により体細胞変異の誘起が認められたが,カルスからの植物体再分化は初代培養においてのみ成功し,継代培養によっては達成されなかった.

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