抄録
HAYMAN(1954)とJlNKS(1954)によつ量的形質の解析に導入されたダイアレル分析法は,交雑次代という早い世代て湘加及ひ優性分散成分や親の遺伝子型についての情報等が得られるので,よく利用される統計遺伝学手法の一つである.理論的研究も進められ,とくにHAYMAN(1954)の6条件が成立たない場合について,多くの論文で検討された.しかし,分析結果の精度を論じる上で最も基本的問題である環境変動の影響を扱った例はごく少ない.そこで,この問題をコンピューター・シミュレーションによって検討した.目的の形質は3遺伝子座に支配され,各座は2対立遺伝子をもつとした.簡単のため,3座間で相加効果も優性効果も等しいとし,また完全優性とした.親はAABBCC,AABBcc,AAbbCC,aaBBCC,AAbbcc,aaBBcc,aabbCC,aabbcc,の遺伝子型をもつ8系統とし,親およびその全紙含せの交雄F1の遺伝子型値を求めた(表1,図1).遺伝卒をD/Vpにより定義し,遺伝率を0.9,0.8,0,7とした場合の環境変動に相当する.正規乱数を発.生きせて,親とF1の遺伝子型値に加えてそれぞれの表現型値を求め,8×8ダイアレル表を作成した.各2反復1000のダイアレル表について,(Vr,Wr)図,遺伝成分,遺伝推定量の値を言十算し,それらに対する環境変動の影響を調べた.