抄録
ヘチマLuffa cylindrica ROEM.とアマチャヅル,Gynostemma pentaphyllum MAKlNOの体細胞融合を行い,その雑種細胞を作出した.すなわち,10mMのヨードアセトアミド処理で不活化したヘチマの子葉プロトプラストと未処理のアマチャヅルの培養細胞プロトプラストをPEG-DMSO法で融合した.雑種細胞のみを選抜するために,未処理のヘチマの子葉プロトプラストがコロニー形成し,かつ,未処理のアマチャヅルの培養細胞プロトプラストが分裂できない培地を用いて培養した.その結果,6個の小カルスを得ることができ,そのうち,4個の小カルスが培養開始後3ヶ月目のアイソザイム分析において両親のバンドを共有し雑種性を示した(Fig.2).これらの雑種カルスのうち,3個は黄色の柔らかいカルスであり,残りの1個は白色の柔らかいカルスであった.これらの雑種.カルスは培養開始後2年目のアイソザイム分析においても両親のバンドを共有していた.雑種性を示さなかった2個の小カルスは緑色の硬いカルスで,形態的にもアイソザイム分析においてもヘチマ子葉プロトプラスト由来のカルスとよく似ていた.雑種カルスは,ホルモン要求性においても両親の性質を併せ持っていた.これらの雑種カルスの染色体数は非常に多く,また,それぞれ異なっていた(Fig.3).この多様性は,アマチャヅル培養細胞における染色体数の多様性に依存しているのではないかと思われる.これらの雑種カルスは根や植物体を再生しなかったが,定性的にサポニン合成を確認することができた.