育種学雑誌
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イネ生態種間の地上部乾物重のヘテロシスとアイソザイム・制限酵素断片長多型
加藤 浩田中 光一中住 晴彦荒木 均吉田 泰二荻 安彦柳原 誠司岸本 直己丸山 清明
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1994 年 44 巻 3 号 p. 271-277

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抄録
イネにおけるヘテロシスの発現程度を明らかにするため,日本型4品種,ジャワ型4品種,インド型6品種の計14品種の各生態群間の交配組合せ90組合せについて,田植え後43日目のF1株の地上部乾物重をヘテロシスの指標として調査を行った。乾物重について鵜飼(1989)のプログラムDIALLによりダイアレル分析を行った。ヘテロシスと現品種の遺伝的距離の関係を見るため,10座位のアイソザイムマーカーと29座位の制限酵素断片長多型(RFLP)マーカーを用いた。日本型/インド型とジャワ型/インド型のF1で初期生育に高いヘテロシスを発現する組合せが得られる頻度が高かった。また,乾物重の増加には少なくとも10個以上の優性遺伝子が関与し,それらの遺伝子の大多数はインド型品種に存在していた。平均優性度が1.25となる超優性現象も観察された。ダイアレル交配に用いた現品種14についてアイソザイムおよびRFLP分析を行った。その結果,日本型/日本型,日本型/ジャワ型,ジャワ型/ジャワ型ではアイソザイム多型から算出した遺伝的距離がO~28.7%,RFLPではO.4~30.8%と小さかったが,日本型/インド型,ジャワ型/インド型はアイソザイムで28.6~73.3%,RFLPで36.1~65.6%と遺伝的距離が大きかった。インド型/インド型の遺伝的距離がアイソザイム多型では3.3~72.1%,RFLPでは9.7~32.5%を示したことから,インド型品種間ではRFLPよりもアイソザイムで多型が出やすい傾向が認められた。
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