抄録
菊培養を行う前のタバコの箱にO.1~O.4%のコルヒチン溶液を浸漬処理して,菊反応率(幼植物が分化した菊数の培養した約数に対する百分率),得られた植物体の倍数性ならびにコルヒチン処理後の蒲の小胞子の発育について検討した. コルヒチン処理により菊反応率は低下したが,得られた植物体のなかで2倍体個体が高い頻度で含まれていた.2倍体の出現頻度は処理時間により異なり,8~12時問処理において最も効果的で,O.1,0.4%処理により,それぞれ菊培養由来植物体あたり28.6~35.7%,53.8~66.7%であった.また,得られた2倍体植物には倍数化を示す形態以外の顕著な変化は認められなかった.コルヒチン処理後の箱においてはP-grainと呼ばれる胚横体から植物体へ発育する小胞子が処理後ただちに増加するが処理3日後より減少すること,胚横体の出現頻度は低い(2.5%以下)ことが認められた.