育種学雑誌
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リョクトウ(Vigna radiana(L.)Wilczek)の子葉から得られたカルスの細胞構成
服部 一三Kazumi Hattori
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1995 年 45 巻 2 号 p. 173-177

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抄録
リョクトウ系統IBP22-117の子葉から形成されたカルスは2型の細胞群,すなわち,カルス上部の緑色でコンパクトな部分と基部の白色でフライアブルな部分から構成されていた.これらの各々の部分を凍結走査型電子顕微鏡(Cryo-SEM)により観察したところ各々の部分は異なった形態の細胞群より成ることが明かとなった.緑色でコンパクトな部分は主に丸く,密に配列した細胞群により構成されたが,一方,白色でフライアブルな部分は長く伸長し,粗く配列した細胞群により構成されていた.また,白色でフライアブルな部分には少数ではあるが,大きな丸い細胞が散在していることが認められた.これら2型の細胞群の振とう培養に対する反応性の比較を行ったところ,白色でフライアブルな部分はL6培地(Kumar et al.,1988)で細かく,分散した振とう培養細胞を形成した.ここで得られた振とう培養細胞を光学顕微鏡で観察した結果,培養期間を変化させても白色でフライアブルな部分を構成していた長く伸長した細胞と大きく丸い細胞のみで構成されることが明かとなった.またこれらの振とう培養細胞を固形培地に移植したところ,大きく丸い細胞は順調に細胞分裂を繰り返し,コロニーを形成した.細長い細胞ではコロニー形成は稀にしか行われず,多くの細胞では移植直後の状態をそのまま保っていた.しかしながら,得られたカルスからの植物体再分化はこれまでには確認されていない.
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