育種学雑誌
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画像データによって判定した酒米の心白発現に及ぼす栽培年次・地域の影響
山田 仁美秋山 征夫高原 美規山元 皓二
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1998 年 48 巻 4 号 p. 355-357

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抄録

酒米心白の発現は,栽培環境の影響を大きく受けることが知られているが,詳しい分析はなされていない。我々は,画像解析を利用して作成する心白標準画像が心白評価に有効であることを明らかにした。そこで,栽培年次(1992~1996年)および地域(兵庫県,新潟県)が異なる2品種(山田錦,兵庫北錦)の標準画像を作り,これらの環境要因が発現位置と心白量に及ぼす影響について調査した。まず,品種および栽培年度の違いにより標準画像は大きく異なっていた(Fig.1)。しかし,同一品種内では,心白の粒内における発現位置はほぼ同じであり,発現量のみが異なっていることが分かった(Fig.2,3)。栽培地域が異なった場合でも同様な結果が得られた。すなわち,酒米心白の発現量は栽培環境によって大きく変動するが,その発現位置は品種において固有であった。これらのことから,発現位置は遺伝子によって決定されているが,発現量は環境によって影響を受けやすいことが示唆された。我々の手法を用いることにより,心自の発現に対する環境の影響を客観的に評価することができた。

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