育種学雑誌
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最新号
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  • 福田 善通, 八木 忠之
    1998 年 48 巻 4 号 p. 345-348
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    インド型イネ品種南京11号より誘発した離脱粒性突然変異系統SR-5(北陸143号)における単一劣性の突然変異遺伝子を,RFLPマーカーを用いたQTL(量的形質遺伝子座)解析に基づき第3染色体上に位置付けた。この遺伝子の優性度0.52の不完全優性であった。またこの遺伝子により説明される遺伝分散の割合は79.6%であった。この突然変異遺伝子を,新たな脱粒性の遺伝子としてsh4と仮称した。SR-5とジャワ型品種Dinalagaとの交配から育成した78個体のF2集団を用いて,脱粒性程度およびRFLPマーカーの遺伝子型の分離を調査した。RFLPマーカーによる連鎖地図作成およびinterval mappingを用いたQTL解析の結果,sh4は第3染色体上のRFLPマーカーR250と同じ場所に位置づけられた。いっぽうF2集団における脱粒性程度の分布で,両親には見られない脱粒性極易および極難を示す超越分離が認められた。インド型品種南京11号よりSR-5と同様に誘発した離脱粒性突然変異系統SR-1の離脱粒性突然変異遺伝子や既知の遺伝子sh2の座乗する第1染色体の領域におけるQTL解析から,この染色体領域の脱粒性遺伝子は少なくとも,F2の分離には関与していないことが示された。なお脱粒性に関して,sh4以外の遺伝子が存在する可能性がある。
  • 遠藤 昇, 田浦 悟, 秋吉 美穂, 小川 紹文
    1998 年 48 巻 4 号 p. 349-353
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    アジア栽培イネの分類には日本型・インド型の2極分類が知られている。また,イネ白葉枯病抵抗性遺伝子にもとづき,Java14群(Xa-3),TKM6群(Xa-4),DZ192群(Xa-5),Cas209群(Xa-10),TN1群(Xa-14)の5つの抵抗性品種群に分類することができる(Ogawaet al. 1991)。各群はアイソザイム分類と密接に関連し,Java14群は80%がVI型品種で占める。TKM6群とCas209群はほとんどがI型に,DZ192群はII型に分類される。TN1群はI型が多くVI型も含んでいる。本報告では,イネ白菜枯病抵抗性品種群と日本型・インド型分類との関連性について,Z判別式(佐藤1991)を用いて検討した。合計832品種におけるZ値の頻度分布は,日本型側(Z≦0),中問型(0<Z≦1.4),インド型側(1.4<Z)領域にピークのある3頂分布を示した。アイソザイム型,白葉枯病抵抗性品種群,日本型・インド型の分類関係についてみると,1.4くZの範囲は,Ph(+)・K感受性品種にほぼ対応した。O<Z≦1.4の頂に含まれる品種は白葉枯病抵抗性品種全群で観察され,これは日本型・インド型分類で中間型とされる品種に相当した。アイソザイムVI型の多いJava14群は,Z値で日本型と中間型に分かれた。ほとんどの品種がI型に分類されるTKM6群は,中間型とインド型であった。II型が多いDZ192群も,中間型とインド型であり,I型がほとんどであるCas209群もインド型を中心にして中間型も含んでいた。また,TN1群では0<Z≦1.4の頂の相対頻度が特に高かった。これらの結果より,アイソザイムI型で構成されるTKM6・Cas209両群とII型が多いDZ192群は,中間型とインド型に分類されることが明らかになるとともに,VI型の多いJava14群は日本型および中間型に分類される品種が多いことが明らかになった。また,これらの分類結果はイネ自棄枯病抵抗性品種群の地理的分布とも対応していた。つまり,日本型・インド型への分化は,イネ白葉枯病抵抗性品種群の多様な分化とも関連性があると推察された。
  • 山田 仁美, 秋山 征夫, 高原 美規, 山元 皓二
    1998 年 48 巻 4 号 p. 355-357
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    酒米心白の発現は,栽培環境の影響を大きく受けることが知られているが,詳しい分析はなされていない。我々は,画像解析を利用して作成する心白標準画像が心白評価に有効であることを明らかにした。そこで,栽培年次(1992~1996年)および地域(兵庫県,新潟県)が異なる2品種(山田錦,兵庫北錦)の標準画像を作り,これらの環境要因が発現位置と心白量に及ぼす影響について調査した。まず,品種および栽培年度の違いにより標準画像は大きく異なっていた(Fig.1)。しかし,同一品種内では,心白の粒内における発現位置はほぼ同じであり,発現量のみが異なっていることが分かった(Fig.2,3)。栽培地域が異なった場合でも同様な結果が得られた。すなわち,酒米心白の発現量は栽培環境によって大きく変動するが,その発現位置は品種において固有であった。これらのことから,発現位置は遺伝子によって決定されているが,発現量は環境によって影響を受けやすいことが示唆された。我々の手法を用いることにより,心自の発現に対する環境の影響を客観的に評価することができた。
  • 山本 俊哉, 島田 武彦, 壽 和夫, 守本 裕美子, 吉田 雅夫
    1998 年 48 巻 4 号 p. 359-363
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    日本原産と朝鮮半島起源のニホングリ(Castanea crenata)の品種識別・類縁関係およびニホングリとチュウコクグリ(C. mollissima)との関係を明かにするために,クリ24品種を用いてAFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)分析を行った。9プライマー組合せを用いてAFLP分析を行った結果,合計で271本の増幅フラグメントが得られ,うち約60%にあたる165本が品種間で多型を示した。供試品種すべてを少なくとも14以上のバンドの差異で識別することができた。またいくつかの品種では,その品種を特異的に識別可能なフラグメントが得られた。得られた多型をもとにUPGMA解析を行った結果,日本原産のニホングリ栽培種が自生種とされるシバグリと同じグループに分類された。一方,朝鮮半島由来のニホングリは,日本のニホングリと比較して,かなり大きい遺伝的多様性を持つことが明らかとなった。これらの結果から,日本のニホングリ品種が遺伝的に近い集団であることが明かとなり,さらにシバグリが栽培品種の起源である可能性または両者が同一起源である可能性が示唆された。
  • 山口 淳二
    1998 年 48 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    大量に調製したイネ種子胚を用いてα-アミラーゼの生合成とその制御に関する研究を行った。形態的・生化学的解析の結果,この実験に用いた種子胚が無傷で生物活性を持ち,胚特異的なα-アミラーゼの研究に最適であることが明らかとなった。α-アミラーゼはジベレリンによってその合成が促進されることが知られている。胚で合成されるα-アミラーゼでは見かけ上外生ジベレリンによる促進効果を示さないが,これは吸水時において胚でジベレリンが十分合成されるためと推測された。α-アミラーゼの活性染色法を用いた解析の結果,5種類の等電点の異なるα-アミラーゼアイソフォームが検出された。RAmy1A遺伝子産物であるアイソフォームAの合成においてはジベレリンとアブシジン酸等の制御を受けているのに対し,RAmy3D遺伝子産物であるアイソフォームGとHはそのような制御は検出されなかった。また,グルコースによって両者の合成は抑制された。種子胚で合成されるα-アミラーゼの生理的意義と有用形質についてあわせて議論した。
  • 中崎 鉄也, 池橋 宏
    1998 年 48 巻 4 号 p. 371-376
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネ籾殻中の休眠関連タンパク質の探索過程で検出されたタンパク質(RHP)の解析から,これが既知のものとは異なる構造上の特徴をもつ新しいキチナーゼであること,また,この遺伝子は染色体4に座乗することが推定された(Nakazaki et al. 1997)。この解析は,ESTデータベースから検索された cDNAの部分配列を基に行っており,新規キチナーゼ遺伝子Cht4のコードするアミノ酸配列のC-末端構造等は不明であった。本報告では,TAlL-PCR法(Liuet al. 1995)を用い,cDNAの既知の部分塩基配列情報(632bp)を基にPCR操作のみによって,イネ品種日本晴の既知cDNA配列の隣接領域の増幅を試みた。その結果,上流約700bpおよび下流約300bpの領域の塩基配列を決定することができた。これによってCht4には,一つのイントロンがあることが明らかになり,また,C-末端領域のアミノ酸残基40が特定された。このC-末端のアミノ酸配列および構造は,クラスIVに分類されるキチナーゼと高い類似性を示し,既知の上流域の特徴と合わせ,このキチナーゼは,これまでイネで報告されてるクラスIキチナーゼとは異なる特徴をもつものであることが確認された。この遺伝子の上流域についても,これまでイネで報告されている特徴的なcis-配列は特定されず,発現の特異性が推定された。また,インディカ品種のCht4下流域においては,トランスポゾンの一つと考えられるWanderer配列の挿入が認められた。したがって,Cht4座はイネの系統分化解析の面からも有用な遺伝子座であることが示唆された。
  • 木下 剛仁, / 穴井 豊昭, 高木 胖, Yutaka Takagi
    1998 年 48 巻 4 号 p. 377-381
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    パルミチン酸はダイズ[Glycine max (L.) Merr.]の主要な飽和脂肪酸の一つで,ダイズ油の物性,化学的或いは栄養学的特性と密接に関係している。ダイズ種子のパルミチン酸含量は11%であり,これまで,パルミチン酸含量に関して減少或いは増加した突然変異体が得られている。最近の研究では,パルミチン酸含量が減少したC1726についてはfap1遺伝子,増加したC1727ではfap2遺伝子の支配が,また,パルミチン酸含量が減少したJ3ではsop1遺伝子の支配が明らかにされている。しかしながら,これら遺伝子間の関係については未だ解明されていない。この研究では,低パルミチン酸含量となるJ3のsop1遺伝子と,同じく低パルミチン酸含量となるC1726のfap1遺伝子および高パルミチン酸含量となるC1727のfap2遺伝子との関係を明らかにすることを目的とした。J3×Bay,C1726×Bay,J3×C1727,J3×C1726の各々について正逆交雑を行ったところ,何れの組み合わせてもパルミチン酸含量について母体効果は認められなかった。J3×BayおよびC1726×Bayの各組み合わせについてF2種子のパルミチン酸含量の分離は何れも1:2:1の分離比となった.J3×C1727のF2世代では1:14:1の分離比であり,J3×C1726のF2世代では3:1013の分離比となった。さらに,J3×C1727およびJ3×C1726の各F2世代の分離およびF3世代の分離から,J3のパルミチン酸含量はC1726或いはC1727とは独立な他の遺伝子座に属する遺伝子に支配されていることが明らかとされた。事実,J3×C1726の組み合わせから得られたsop1sopfap1fap1の遺伝子型は3.5%のパルミチン酸含量となり,より良好な物性,化学的或いは栄養学的特性となるダイズ油のための重要な遺伝資源であるものと考えられた。
  • 羽鹿 牧太, 高橋 将一, 酒井 真次, 松永 亮一
    1998 年 48 巻 4 号 p. 383-386
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    7S蛋白質(β-conglycinin)は11S蛋白質とともにダイズ種子蛋白質の70%を占める主要な貯蔵蛋白質であるが,11S蛋白質と比べ含硫アミノ酸含量が少なく,ゲル強度や栄養性が劣る。7S蛋白質と11S蛋白質は相補的な関係にあることが知られているので,11S蛋白質含量が高いダイズの育成のために7S蛋白質欠失の遺伝資源が求められてきた。7S蛋白質はα,α',βの3つのサブユニットからなり,αサブユニット欠失,α'サブユニット欠失等の変異が知られているが,βサブユニット欠失変異が見つかっていないため,これらの変異系統を組み合わせた7S蛋白質完全欠失系統は育成されていない。また放射線突然変異により2つの7S蛋白質欠失系統が作出されたが,これらの系統は致死変異であり,育種素材としては利用されていない。最近我々は天草から収集したツルマメに7S蛋白質を欠失した系統を見いだし,この系統が正常に生育することを報告した。我々はこの系統をQT2系統と名付け,また7S蛋白質を欠失しているにもかかわらず,正常に生育するため,致死の7S蛋白質欠失変異と区別するためにこの表現型をQT2-typeと呼ぶことにした。このQT2-typeの遺伝様式を明らかにするために,普通ダイズや種子リポキシゲナーゼ欠失ダイズ等と交配実験を行った。その結果,QT2-typeは単一の優性遺伝子により支配され,また7S蛋白質のα'サブユニットやリポキシゲテーゼの3つのアイソザイムとは独立に遺伝することが明らかとなった。我々はこの遺伝子にScgの遺伝子記号を付与した。得られたQT2-typeの後代はリポキシゲテーゼ欠失の系統を含め全て正常に生育し,QT2系統は7S蛋白質欠失ダイズ育成のための遺伝資源として利用できると考えられた。
  • 王 才林, 宇田津 徹朗, 湯 陵華, 鄒 江石, 鄭 雲飛, 佐々木 章, 柳沢 一男, 藤原 宏志
    1998 年 48 巻 4 号 p. 387-394
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1992年から,プラント・オパール分析による中国長江中・下流域における稲作の起源およびその伝播に関する日中共同研究が開始され,太湖流域に所在する草鞋全山遺跡における古代水田趾の発掘調査が行われた。調査の結果,遺跡の堆積土層が10層確認され,5層からlO層までは馬家浜中期(B.P.5900~6200年)の文化層であることが判った。また,プラント・オパールの分析により,春秋,綾沢,馬家浜時期の水田土層が確認された。さらに,馬家浜中期の土層から40面余りの水田遺構が検出された。本論文では,検出された水田遺構の一部および各土層から採取した土壌試料について行ったプラント・オパールの定量分析および形状分析の結果を報告し,当該遺跡における古代イネの品種群およびその歴史的変遷について検討を加えたものである。プラント・オパールの定量分析より,各遺構および各土層からイネのプラント・オパールが多量に検出された。この結果から,草革全山遺跡周辺では,B.P.6000年の馬家浜中期からイネが継続して栽培されてきたと推測される。
  • 土井 一行, 吉村 淳, 岩田 伸夫
    1998 年 48 巻 4 号 p. 395-399
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネ育種においてアフリカイネ(Oryza glaberrima Steud.)の潜在的能力を十分に利用することを目的とし,筆者らは日本型イネ台中65号を遺伝的背景とするO. glaberrima染色体置換系統群の作出を行なっている。これらの系統は固定系統で,それぞれの系統が少しづつ異なるO. glaberrima由来の染色体領域を持つようにRFLPマーカーによって選抜する予定である。その第一歩として,BC1F1集団を利用したRFLP連鎖地図の構築を行なった。また,BC2F1集団を利用し,花粉稔性と出穂期に関するQTL解析を行なった。構築されたRFLP地図はゲノム全体をよくカバーする101個のRFLPマーカーを含み,全体の長さは1403.4cMであった。各マーカーの配列は従来のRFLP地図とよく一致した。染色体4,5,6,11においてそれぞれ分離の歪みが見られた。特に染色体6ではO. glaberrima型の配偶子が増加する強い歪みが見られた。BC2F1集団を用いた出穂期に関するQTL解析では,染色体1,6,10にそれぞれ1%水準で有意なQTLが検出された。RFLPマーカーC1211(染色体1),XNpb27(染色体6)近傍のQTLはO. glaberrima由来の遺伝子が出穂を遅らせる方向に,XNpb37(染色体10)近傍のQTLは出穂を早める方向に,それぞれ働いていた。花粉稔性に関しては染色体3,7,10にそれぞれ1%水準で有恵なQTLが検出された。いずれもヘテロの状態で花粉稔性を低下させていた。染色体10においては非常に広い領域で花粉稔性との関与が検出され,この領域に強力な雄性不稔遺伝子が存在することが示唆された。
  • 安井 健, 佐々木 朋子, 松木 順子
    1998 年 48 巻 4 号 p. 405-407
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    胚乳澱粉に結合するワキシー(Wx)蛋白質のうち,Wx-A1およびWx-B1蛋白質を二重に欠失するコムギ品種関東107号の種子をメタンスルホン酸エチル(EMS)処理することによって得たモチ性突然変異系統,K107Wx1およびK107Wx2,は,関東107号に由来する機能のない2種のWx対立遺伝子,Wx-A1bおよびWx-B1b,とともに,EMSによる突然変異で誘発された機能のないWx-D1対立遺伝子をもつことが推定されていたが,この対立遺伝子と品種Bai Huoに由来する機能のないWx-D1b対立遺伝子との関係は明らかになっていなかった。そこで,この二つのモチ性突然変異系統とBai Huo/関東107号の交配に由来し,機能のない3種のWx対立遺伝子,Wx-A1b,Wx-B1bおよびWx-D1b,をもつことが明らかなモチ性系統,Wx-3およびWx-4,とを交配し,後代検定を行なった。その結果,F1種子は全てモチ性の胚乳をもつことを認めたが,F2世代ではウルチ性の胚乳をもつ種子の分離が認められた(Tab1e 1)。また,ウルチ性胚乳をもつF2種子は,F3種子における胚乳のウルチ・モチ性の分離(Table 2)から,ヘテロ接合型であることが判明した。これらの結果から,モチ性突然変異系統は,Wx-D1遺伝子座にWx-D1bとは構造の異なる機能のない対立遺伝子をもつことが明らかになった。そして,Wx-D1bをもつモチ性系統との交雑においては,遺伝子内組換えによりウルチ性の胚乳をもつF2種子が生じたと推定できた。この機能のない新しい対立遺伝子を,Wx-D1dと命名する。Wx-D1遺伝子座内における機能のない2種のモチ性対立遺伝子,Wx-D1bおよび,Wx-D1d,間の組換え頻度は,トウモロコシのWx遺伝子座内における種々のモチ性対立遺伝子間の組換え頻度(O-125×lO-5)の範囲内にあった。なお,電気泳動法によって,K107Wx1/Wx-4の交配に由来するウルチ性のF4種子から調製した胚乳澱粉は,関東107号由来のWx-D1蛋白質と移動度が同等な蛋白質を含むことを確認した。
  • C.Mercedes Carrao-Panizzi, 喜多村 啓介, / , Maria C. N. Oliveira
    1998 年 48 巻 4 号 p. 409-413
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    大豆種子中に存在するダイジンおよびゲニスチンなどのイソフラボン成分は大豆加工食品に不快味をもたらす要因であるが,一方では,抗腫瘍性などの重要な薬理作用や耐虫性・抗菌性などのファイトアレキシン作用を示すことが認められている。これまで,大豆イソフラボン含量には品種間差異があることや豊熟期の高温によって著しく低下することが報告されている。我々は前報(Carrao-Panizzi & Kitamura,1995)において,ブラジル大豆のイソフラボン含量に品種および年次間差異があることを示した。そこで,本研究では,ブラジル大豆15品種を用いて,ブラジル国パラナ州ロンドリーナ市(南緯23度11'50”)およびポンタグロッサ市(南緯25度05'58”)の2地点,各3播種時期で栽培し,大豆種子中のイソフラボン含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量し,栽培場所間による違いを分析した。その結果,どちらの栽培場所においても,総イソフラボン含量は,“IAC100”,“IAS5”,“IAC8”,“G0/BR-33”および“BR-37”で高く(2地点平均146.9~119.5mg/1OOg),“BA/BR-31”および“BR-36”で低く(2地点平均各57.5および53.7mg/100g),前報と同様の品種間差異を認めた(Tab1e 2)。また,ロンドリーナ市で栽培された大豆品種はポンタグロッサ市のものよりも31%も低い総イソフラボン含量を示した(全品種平均各82.0および119.7mg/100g)。両市の豊熟期の平均気温は各々23度および20度であり,この気温差および土壌などの他の環境要因が大豆イソフラボン含量の栽培場所間差異をもたらしたものと思われる。
  • 平澤 秀雄, 根本 博, 須賀 立夫, 石原 正敏, 平山 正賢, 岡本 和之, 宮本 勝
    1998 年 48 巻 4 号 p. 415-419
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    A new glutmous upland nce vanety “Yumenohata mochi” with medium maturationtime, which was registered in Ministry of Agriculture, Forestry and Fishery as “upland rice Norin mochi 60”, was released in 1996 by Plant-Biotechnology lnstitute, Ibaraki Agricultural Center. This variety was developed after two backcrossings with the improved variety `upland rice Norin mochi 4'(NG4) in a cross between NG4 and the native Indian variety `Jaypole Collection N0.81'(JC81) selected as a drought resistant parent by the investigation of root amount and thickness. The selection of drought resistant lines was conducted on the basis of rootamount and thickness as well as shoot traits. Yumenohatamochi showed high drought resistance in upland fields of Japan. The eating quality was equivalentto that of paddy glutinous rice varieties with middle level of eating quality. Among the upland rice varieties, this variety is considered to display the highest eating quality at present. Thus, Yumenohatamochi is expected to contribute to the stable production of upland rice in Japan and to the increaseof the demand for upland rice.
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